コンテンツ配信網(CDN)などを提供するFastlyは12月3日、報道機関向けのオンライン説明会を開催した。
米Fastly CEOのJoshua Bixby氏
まず、米Fastly 最高経営責任者(CEO)ののJoshua Bixby氏は、同社の事業概要と世界戦略を説明、「われわれのネットワークは、人々のデジタルライフを支え世界で何十億ものユーザーを抱える企業、例えばニュースや電子商取引(EC)、エンターテインメントなどのさまざまな業界にミッションクリティカルな安定性を提供している」と紹介した。
さらに、2025年には10億ドル企業に成長することが見込まれているとし、「人々や組織がインターネット体験を“アップグレード”し、これまで以上のコントロール、高速なコンテンツ、よりダイナミックなアプリケーションを利用できるようにするために重要な役割を果たすことになる」と同社の展望を語った。
同社はCDN事業者として知られるが、Bixby氏は創業からこれまでの経緯を振り返り、「開発者が開発者を支援するために構築したネットワーク」であることを強調。さらに重点分野として「Delivery(デリバリー)」「Edge Computing(エッジコンピューティング)」「Security(セキュリティ)」の3分野を挙げた。
Fasltyのこれまでの歩み
3つの注力分野
続いて、日本法人でAVP, Head of Japan Salesを務める福田大治氏が国内事業の方針を説明した。まず同社サービスの特徴として「パフォーマンスと可用性」「リアルタイム性能」「APIフレンドリー」「プログラミングが可能」「次世代セキュリティ」の5点を挙げ、Shop Japan(オークローンマーケティング)、ZOZO、マネーフォワード、サイバーエージェント、メルカリ、ディー・エヌ・エーといった著名なサービスや企業が導入していることを紹介した。
Fastlyの主な特徴
続いて、2022年度の事業方針として「重点分野でのビジネス拡大」「パートナービジネスの更なる推進」「採用強化による日本オフィスの拡大」「日本の顧客向けサポートの拡充」の4点に注力する方針を示した。
日本国内の2022年度事業方針
なお、Bixby氏は同社のビジョンを「全ての人に高速かつ安全で魅力的なデジタル体験を提供できる世界を目指す」ことだと紹介。競合他社との差別化ポイントとして、同社が「強力かつ戦略的に配置されたPoP(Point of Presence)」を展開していることを挙げた。
一般的なCDNでは、コンテンツを可能な限りユーザーに近い場所から配信するために膨大な数のPoPを配置しているが、こうしたPoPは比較的軽量・小規模でリソース量が限られたものになる。これに対して同社は豊富なリソースを備えるPoPを重要な場所に重点的に配置するという戦略を採っている点が違いだとした。
同社では2021年6月に全世界規模での大規模な障害を経験しているが、これについてもさまざまな再発防止策を講じたという。特にこの障害がある特定の顧客企業が実施した設定変更によって未発見だった問題が顕在化したことによるものと説明されているのを踏まえ、「ある顧客の設定変更が他の顧客の環境に影響を与えないようにした」ほか、「障害を検知した際の対応を迅速に行えるようにした」という。
Fastly日本法人 AVP, Head of Japan Salesの福田大治氏