東京大学グリーンICTプロジェクト(GUTP)とこれに参加するNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は12月8日、デジタルツインによりデジタル空間からロボットなどをリアルタイムに制御する技術を開発したと発表した。今後は標準化に向けて取り組みを進めるとしている。
デジタルツインとは、現実空間におけるさまざまな情報やデータをクラウドなどのデジタル空間に集約し、分析などを通じて得られた知見などを現実世界に反映して、活用する概念。例えば、街中の建物や施設のデータをデジタル空間上に取り込んで仮想的な立体地図として再現し、新たな街づくりなどを検討して、現実世界でそれを実行していくようなものがある。
GUTPとNTT Comは、3~11月にデジタルツイン技術で建物空間を制御する実証実験を進め、建物空間のデジタルツイン構築技術の標準化に向けた知見を蓄積したという。今回は、現実空間にあるロボットやビルの設備システムなどをデジタル空間からリアルタイムに制御する基礎的なアプリケーションを開発した。
実証実験では、NTT Comが東京都港区に開設したスマートシティー関連の検証施設「CROSS LAB for Smart City」で、GUTPが作成した基礎的なデジタルツインのアプリケーションを用いたさまざまな取り組みを検証。レーザースキャナーで撮影した点群データから既存の建物のビル情報システム(BIM)のデータを作成したり、位置情報などを利用したロボットのリアルタイムな遠隔制御、照明や空調などの機器を制御したりできることを確認したという。
実証実験イメージ(出典:NTTコミュニケーションズ)
GUTPには、NTT Comの他に日建設計(実証実験などの計画策定支援)、大塚商会(BIMによる建物データの作成およびデータ連携など)、神田通信機(各種機器などとの連携ゲートウェイ構築・評価)、セコム(BIM関連データのシステム)、竹中工務店(デジタルツインの技術指導やシステムエンジニアリングなど)、TIS(運搬ロボットの位置情報共有および制御など)が参加している。
GUTPと加盟各社は、実証実験の成果より建物から収集するデータ活用手法の標準化に向けた取り組みを進める。NTT Comでは、2022年度に他の都市でも同様の実験を行い、広域都市空間でのデジタルツイン活用も検討していくという。