日立と応用地質、「地中可視化サービス」強化--オンデマンドで高精度な埋設物位置情報を提供

NO BUDGET

2021-12-09 14:27

 日立製作所(日立)と応用地質は、上下水道、ガス、電気、通信などインフラ事業者や施工/設計業者向けに展開する「地中可視化サービス」を強化し、クラウドを活用した新たなオンデマンドサービスとして提供開始した。広範な管路新設や更新時の計画・設計・施工の効率化、埋設管の損傷事故や工期遅延の発生リスクの低減など、社会インフラの維持管理業務の高度化が期待される。

 地中可視化サービスは、応用地質の地中レーダー探査装置・ノウハウと日立のLumadaの人工知能(AI)・画像解析技術を組み合わせ、両社で共同開発したソリューション。地中のガス管や水道管といった埋設物に関する位置や寸法などを高精度に可視化・一元管理し、地下掘削工事などで必要となる埋設物情報を提供する。

 今回の強化では、自治体・鉄鋼業など全国18事業体の協力のもと、合計240kmに上る地下レーダー探査を通じた継続的な評価検証と改良を行い、解析技術のさらなる精度向上を実現したという。またクラウドサービス化して利用を容易にすることで、必要な時に必要な場所の埋設物情報を提供できるようにした。

 解析技術に関する最新の評価検証では、実際に地中埋設工事を行い、埋設物の位置情報が正確に記載された図面上の埋設管の位置と、AIによる解析・可視化の結果を重ね合わせ、水平精度を検証した。その結果、対象箇所全てにおいて実際の埋設管との位置が一致するなど、高い解析精度を確認している。図面上のガス管の深度と、AIによる解析結果の比較検証では、相対位置10cm以内に抑え、位置精度の高さも確認している。

 Software as a Service(SaaS)型プラットフォームにより、インフラ事業者などのユーザーが必要なタイミングで参照したい範囲の埋設物情報も確認できるようになった。ウェブブラウザーで2/3次元で地下埋設物が表示され、埋設管の深度、地上構造物からの相対距離、埋設管同士の距離など、敷設状況の閲覧が可能。既に埋設物情報がプラットフォームに整備されている場所については、参照権を購入することで埋設管情報をすぐに閲覧できる。

 今後同サービスにおいて、工事計画や既存の埋設物情報をウェブブラウザーで一元的に管理・共有することで、事業者間の個別調整、工事立ち合いなどの工数軽減、事業者間のコミュニケーションの円滑化などを図る。

 また、地下埋設物情報を建設機械と連携することにより、建設機械のMachine Guidance(MG)による事故の未然防止や、Machine Control(MC)による掘削の効率化、埋設管敷設ルート候補の自動レコメンドなどへの応用も検討していく。

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