Microsoftは2020年10月、新しい宇宙事業「Azure Space」を発表した。同社が、クラウド市場における宇宙および人工衛星関連の接続性やコンピュートの部分で主要な役割を果たすことを目指す取り組みだ。同社は米国時間12月9日、Azure Spaceに関する最新情報や、事業の一環としてAirbusと新たに提携したことを明らかにした。
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Microsoftは、「Azure Orbital」がパブリックプレビューになったと発表した。Azure Orbitalにより、Microsoftやパートナーの地上局から、衛星と通信したり、制御したりできる。また、同社はさらなるサービスをAzureに統合し、Azure Spaceの機能に関心がある顧客にサービスを提供する計画だ。Microsoft ResearchによりAzureをベースに構築されている人工知能(AI)プロジェクト「SpaceEye」は、雲のない光学画像やマルチスペクトル画像を生成し、ユーザーが雲の向こう側を見えるようにする。そして、「Project Turing」の画像補正技術を用いて、画像の質を向上させる。
また、新たにAirbusと提携し、同社の高解像度の衛星画像と標高データを「Azure Maps」に提供する。Airbusの画像と、Azureの機械学習サービス「Azure Machine Learning」やAIを組み合わせ、顧客が輸送ルートや交通パターン、世界の購買動向を分析し、サプライチェーンの混乱を予測するといったタスクにより適切に対処できるようになる。
さらに同社は、衛星プロバイダーiDirectとの仮想化に関する提携や、ESRI、Blackshark.ai、Orbital Insightとの地理空間およびデータ分析に関する提携を発表した。
Azure Spaceは、宇宙産業の企業だけをターゲットにしているわけではない。農業、エネルギー、通信、政府機関などの公的機関や民間企業にも訴求したいと考えている。また、リモートアクセスと帯域幅を必要とするあらゆる顧客を想定している。
Microsoftと競合するAmazon Web Services(AWS)も、2020年6月に宇宙産業の戦略を発表し、新しい事業部門「Aerospace and Satellite Solutions」を立ち上げた。また、独自の衛星運用サービス「AWS Ground Station」を実現しているほか、SpaceXの衛星ブロードバンド通信サービス「Starlink」などと競合する衛星ブロードバンド事業「Project Kuiper」を展開しようとしている。
Microsoftは2020年、Elon Musk氏が率いるSpaceXをAzure Spaceの重要なパートナーの1社として発表した。Azureで衛星を利用したインターネット接続を提供するために、SpaceXと協力している。
11月には、Cloud+AI事業再編の一環として、Strategic Missions and Technologies(SMT)チームを新設している。新しいSMTグループは、同社のU.S Federal、Azure Space & Mission Engineering、Azure for Operators(通信事業者向け事業)、Azure Quantumを1つのグループにまとめたチームだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。