サイバートラストは12月16日、同社のLinuxディストリビューション「MIRACLE LINUX 9」の無償公開化と、「CentOS 7」のメンテナンス更新終了後の修正パッケージおよび日本語技術サポートの提供を発表した。
MIRACLE LINUX 9は、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)9」をベースに開発し、2022年中に提供予定の国産Linux OS。10月から提供している「MIRACLE LINUX 8.4」の後継OSで、RHEL 9で動作する実行可能なプログラムをそのまま動作可能になるよう開発するとサイバートラストは述べている。
2021年12月31日に開発元のメンテナンスが終了となる「CentOS Linux 8」の後継として利用できる。サイバートラストはMIRACLE LINUX 8.4より、RHEL派生ディストリビューション(クローン)として、RHELとパッケージバージョン、パッケージ名をそろえ、CentOS Linuxと同等に利用可能なOSとしてOSライセンス費用を無償で公開している。
CentOS LinuxはRHELの代表的なクローンであり、Linuxの普及とともにRHELクローンとしての安定した実績から日本国内でも多数の企業が利用しているという。開発元の CentOS Projectより、CentOS Linux 8の開発を2021年12月末に終了し、「CentOS Linux 9 」はリリースせず、今後の開発は「CentOS Stream」に注力することが発表されている。
これを受けてサイバートラストは、CentOS Linuxを利用している企業ユーザーのシステムの運用継続を支援する方針のもと、MIRACLE LINUX 8.4をライセンス費用無償で公開し、安定して長期利用できるOSへの移行を支援している。
MIRACLE LINUX 8.4は、導入企業としてソフトバンクがあり、公開以降のダウンロードが累計で2万件を超えるとサイバートラストのOSSビジネス本部 執行役員本部長である鈴木庸陛氏は述べる。
同社は、次期バージョンであるMIRACLE LINUX 9についても同様にOSライセンス費用を無償とし、2022年中の公開を目指して開発することを決定した。現行バージョンのMIRACLE LINUX 8.4と同様に、「Microsoft Azure」をはじめとするプラットフォームでの稼働をサポートする予定。Microsoft Azureでは IaaS環境でのCentOS Linuxの採用が多く、RHELクローンのLinux OSを必要とする企業ユーザーに向けて後継として長期利用可能な選択肢を提供するという。
有償サポートメニューもMIRACLE LINUX 8と同様に、「MIRACLE Standardサポート」「Linux専用機向けサポート」「大規模向けサポート」が提供される。
MIRACLE LINUXのメジャーバージョンリリースは、Red Hatが新たなメジャーバージョン製品をリリース後、6〜12カ月で公開。マイナーバージョンリリースは、Red Hatが新たなアップデートバージョン製品をリリース後、4〜6カ月で公開するとサイバートラストのOSS技術本部 執行役員本部長の吉田淳氏は説明。セキュリティフィックスパッケージは、Red Hatが修正パッケージ提供ののち1週間以内に提供し、バグフィックス/機能拡張パッケージはRed Hatが修正パッケージ提供ののち2週間以内としている。
吉田淳氏は、MIRACLE LINUX 8での次ターゲットは「MIRACLE LINUX 8.6」とし、MIRACLE LINUX 8.6とMIRACLE LINUX 9のロードマップについて、Red Hatによる製品リリースを5月と想定した場合、MIRACLE LINUX 8.6はベータ版が8月、RC版が9月、MIRACLE LINUX 9はベータ版が7月、RC版が10月に提供される予定と述べた。