人工知能(AI)プラットフォームを提供するAI insideの調査によると、AI技術を導入する企業の約6割がAI開発の内製化を進めているという。同社が12月23日に調査結果を発表した。
調査では、全国20〜50代のビジネスパーソン2000人を対象に、所属している企業・団体でのデジタル変革(DX)の推進に向けたAIの活用や内製化、人材の育成状況を聞いた。期間は10月15〜17日、インターネットで実施した。これによると、現在、AIが搭載されたサービスやツール(ソリューション)を導入している層のうち、「自社開発・内製化に取り組んでいる」との回答は37.2%、「検討中」は24.3%だった。またAIソリューションを現在導入している層の中では、「AIに関する研修を実施し、人材育成を行っている」という回答は約4割だった。
DXとAIの活用状況については、「DX・AI活用を推進していない」との回答は65.7%、「DX推進・AI活用している」との回答(「AIを活用して、新たな価値創出ができている」「AIを活用して、新たな価値創出を目指している」「AIを業務効率化の範囲で活用している」の合計)は17.8%だった。
業界別で見ると金融・保険業では「DX推進・AI活用している」が36.0%で、全体の17.8%に比べ約18ポイント程度高い結果となった。また、「DX推進は取り組んでいるが、AI活用まではできていない」(7.4%)、「DX推進、AI活用共に必要性は感じているが着手できていない」(6.5%)という回答も一定数あり、検討はしているもののAI活用まで着手できていないことが分かった。
システムの内製化状況については、「内製化を行っていない」が全体の62.7%と最も多く、「自社開発を行い、内製化に取り組んでいる」は11.5%、「開発は外注だが、今後は自社開発を検討している」は8.2%、「内製化は検討なし」は13.8%だった。
全体の中でもAIソリューションを現在導入している層に限ると、システムの内製化状況について、「自社開発を行い、内製化に取り組んでいる」は37.2%、「開発は外注だが、今後は自社開発を検討している」は24.3%という結果だった。
さらにAI人材の育成状況については、「AI人材育成の予定はない」が70.8%だった。一方、「AI人材は十分確保できている」は3.2%ほどにとどまるものの、研修などでAI人材育成を前向きに検討している層(「AIに関する研修を実施し、人材育成を行っている」「研修の予定はあるが未着手、もしくは検討中」)は17.9%程度存在していることも分かっている。
これをAIソリューションを現在導入している層に限ると、「AIに関する研修を実施し、人材育成を行っている」が36.8%で最も多く、続いて「研修の予定はあるが未着手、もしくは検討中」が19.0%という結果だった。また「社内のAI人材は十分確保できている」という回答は10.5%にとどまった。
AI insideでは、今回の結果から、AIソリューション導入者のうち、約6割が内製化を検討もしくは内製化に取り組んでおり、一方、AIが活用できていない層においては、社内の人材不足に起因するナレッジの不足から適切な検討や選定が難しく、AIの導入や内製化に取り組めていない点が課題となっているとした。また全体では「(会社における)AI人材育成の予定はない」が70.8%で、費用対効果が事前に明確にしづらい人材教育を含めたAI活用への投資に消極的になっているのだろうとした。