海外コメンタリー

「Microsoft Cloud」の次なる展開を予想する

Mary Jo Foley (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2022-01-06 06:30

 不思議に思う人は少ないだろうが、2021年はMicrosoftの各種クラウドサービスにとって大きな飛躍の年になった。そして2022年は、業界第2位のエンタープライズ向けパブリッククラウドプロバイダーであり、年間で数多くのデータセンターを新設しているMicrosoftにとって、さらに大きな飛躍を遂げる年になるだろう。

What's next for the Microsoft Cloud
提供:Microsoft

 本題に入る前にまず、「Microsoft Cloud」についておさらいしておこう。Microsoft Cloudは顧客が購入できる単一のSKUやサービスではない。また、「Azure」と同義でもない。それよりもずっと複雑で、さまざまな要素が絡み合った存在だ。

 Microsoftは2021年の秋に、これまで「コマーシャルクラウド(Commercial Cloud)」と呼ばれていた一連のサービスをまとめた事業の呼び方を、ひっそりと「Microsoft Cloud」に変更したようだ。これまでも同社の多くの役員がこの言葉を使っていたが、Microsoftの2022会計年度からは、正式に同社の決算用語になった。Microsoft Cloud事業には、「Microsoft 365」と「Office 365」、AzureとAzureの各種サービス、「Dynamics 365」、LinkedInのいくつかの法人向けサービス、クラウドデータベースサービスやアナリティクスサービス、「Enterprise Mobility + Security」、「Exchange Server」の各種オンラインバージョン、「SharePoint Server」などが含まれている。

 Microsoftが10月に発表した決算によれば、2022会計年度第1四半期のMicrosoft Cloud事業の売上高は207億ドルであり、これは年間ランレート換算で約800億ドルに相当する。つまり、ユーザーは「Microsoft Cloud」のSKUを購入したり、サブスクライブしたりできるわけではないが、Microsoftの営業部門やパートナーは、ユーザーにできるだけ多くのMicrosoft Cloudのサービスを売ろうとしているということだ。

 では、2022年のMicrosoft Cloudはどんな方向に向かうのだろうか。

 第1に、Microsoft Cloud事業には、Nuanceの買収で獲得した製品が加えられるはずだ。Microsoftは2021年4月、人工知能(AI)や音声認識技術を手掛けるNuanceを約197億ドル(約2兆1600億円)で買収すると発表した。Nuanceの現在の事業は主に医療業界向けで、例えば、同社の音声認識技術は医者と患者の対話プロセスを合理化するのに役立っている。Microsoftの関係者は、今回の買収案が反トラスト法規制当局の承認を得られれば(2022年第1四半期になるとみられる)、Nuanceの技術を医療業界以外の多くの業界でも生かせるはずだと述べている。ひょっとすると、Dynamicsのコンタクトセンターの新しいバンドル製品は、Nuanceの製品と相性が良いかもしれない

 個別業界に関して言えば、Microsoftは今後、個別業界向けのクラウド製品の売り込みを強化すると筆者は予想している。これらの業界クラウドは、Microsoft 365/Office 365、Azure、Dynamics 365などと、医療業界小売業金融業、製造業、非営利団体などの個別市場向けにカスタマイズされたさまざまなテンプレートやAPIをバンドルしたものだ。

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