東京海上日動火災保険(東京海上日動)、NTTデータ、スタンデージおよびトレードワルツは、新たな貿易決済の仕組みの実現に向けた実証実験を行った。実証期間は8~12月の約4カ月間で、検証には松尾産業、ウィル・ビーをはじめ複数企業が参加、協力した。結果を踏まえ、貨物の代わりとして用いる電子B/L(船荷証券)とデジタル通貨(または暗号資産)を同時に交換する、世界初の仕組みの実用化および2023年度中の事業化に向けて取り組んでいく。
この取り組みによって、国際売買のリスクの除去、輸出入者の貿易コスト低減、中小企業の貿易取引の活発化、貿易の平易化などが期待できる。
電子B/Lとデジタル通貨(または暗号資産)の同時交換の流れ
貨物と代金の交換を行う貿易取引では、以前から貨物の代わりとして用いるB/L(Bill of Lading)と代金の交換が行われてきた。一方で、海外取引の場合、輸出者と輸入者は離れていることから、B/Lと代金を同時に交換できず、いずれかの債務不履行のリスクが発生し、銀行、保険、ファクタリングなどによるリスクヘッジのコストが必要になっていた。
近年、国内では電子B/Lを認めるよう法改正を求める動きが進んできており、海外諸外国においてもB/Lなどの電子化のための法整備を行う動きがある。また、デジタル通貨についても国際的な実用に関する議論があり、中国やカンボジアなどを中心にCBDC(中央銀行デジタル通貨)の実用化に向けた動きが活発化している。
実証実験では、ブロックチェーン技術を活用し、貿易プラットフォームで電子化された「B/L」と「デジタル通貨(または暗号資産)」の同時移転が可能であることを確認した。NTTデータはB/Lや保険証券、インボイスなどを電子化する貿易プラットフォーム「TradeWaltz」と複数のブロックチェーンを連携するインターオペラビリティー技術を提供した。また、暗号資産の移転技術はスタンデージが提供した。