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コニカミノルタが実践する「イノベーション志向経営」、社内外でDXを実現する方法論 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2022-01-11 06:00

“早く失敗するほど次に生かせる”を実践

 とはいえ新規事業開発には、たくさんの失敗を伴う。「どんな企業でも、1000億の売り上げ、100億円の利益を出すには、最低でも5~7年、平均でも10~12年を要する。なかなか初期段階でそれを許容する環境が作れないのが実態だ」と市村氏は指摘する。そこで同社は、新規事業開発をアイデアから事業化までをプロセスで管理する「ステージゲート」というモデルを用意している。


 ステージを「ビジネスアイデア」「実現性確認」「ビジネスデザイン」(ステージ0~2)、「マーケットテスト」(同3)、「事業化」(同4)に分け、それぞれに「Fail fast」「Start Small」「Grow fast」の3つのキーワードが存在する。各センター長は、ステージの0~2までは自分で判断をして現場で迅速にアイデアを回し、顧客と一緒になってビジネスをデザインしていく。その際、早く失敗すればするほど次に生かせると考える。  ステージ3では概念実証(PoC)を行う。その際、「有償でないと顧客が真剣にならない」と市村氏は指摘する。このタイミングで、コニカミノルタとして本当に実行する価値があるのか、スケールするかということを徹底的に議論していく。そして最後に、いかにスケールしていくかというフェーズに入る。

 コニカミノルタ流のイノベーションマネジメントとして市村氏はまず、自分でやってみることを挙げる。「誰かに乗っかる、やってもらうでは絶対にうまくいかない。自分事として考えていないプロジェクトでは、その先のさまざまな苦難を乗り越えていくエネルギー量には絶対に達しない」と言い切る。

 また新規事業担当者には、「社会的意義」「差別化要因」「ビジネスの規模」を常に考えてもらう。その際には長々とした資料ではなく、短いキーワードで説明できるようにさせる。事業のスケールとしては、利益として10億~50億円。売上規模として100億~1000億円の事業シナリオが描けてなければ、スタートする意味がないという考え方になる。

 同社では、常に100件の新規事業プロジェクトが動いているとのこと。「スケールが出ないものは売却やイグジットし、成長するものも場合によっては事業に取り込むこともある。ある意味で企業の中に健全なスタートアップが100社あり、さまざまな交流をしている状態」(市村氏)となっている。

 またBICの活動は、経験者を外部から採用しプロジェクトを生み出すところから始めているが、現在の活動は多岐に渡っている。顧客との共創の他に、若手を受け入れてビジネスリーダーとして育成するほか、現場にBICのメンバーがメンターとして入って、現場のアイデアをボトムアップで育成していく取り組みも行われている。その結果、プロジェクトの質が向上し、事業活動やイノベーティブな活動に成果が現れているという。「出島からスタートしているが今はBIC3.0のフェーズ。BICを既存事業に取り込む形で、タグボートとして重たい母船を引っ張る、引きずり回す、影響を与えるレベルの活動になってきている」(市村氏)


DXを推進し既存のルールやプロセスを打破

 最後に市村氏は、コニカミノルタのDX推進活動について語った。まず、DXを「デジタルビジネス変革」と定義し、全体に周知。そしてデジタルテクノロジーを使い倒し、業績改善に向けてどんどんPoCを重ねていくように促す。これは、従来の考え方で出来上がっている組織やルール・プロセスを変革していいということであり、その背景には変革や変化をしないことが最大のリスクだという考え方が存在している。

 「キーワードは“アンロック”。従来の成功体験を含めて打破していかなければ、次の新しい活動にはならない」(市村氏)

 変革を進める際には、DX化の状況を数値化して進ちょく管理を行う。レベル0から5に分けて、それぞれに合った施策を打つと共に、ボトルネックも可視化する。社内でもDXやスマートワークを実践し、それを「いいじかん設計」というプログラムとしてメニュー化し、外販も行っているという。


 コニカミノルタは、「B to B」ではなく、「B to B to P(Professional) for P(Person)」カンパニーと自称する。これは、(1)顧客組織内の一人ひとりのプロフェッショナルに寄り添って、生産性や創造性を向上していく、(2)その延長線上で、顧客のその先の社会にさまざまなモノが実装されて行けば、一人ひとりが置かれている環境や社会的課題が解決され、(3)それぞれが生きがいをより感じ、幸せをより追求できる――という考え方に基づいているとのこと。

 「そのような環境を共創によって整備していくという想いでビジネスに取り組んでいる」と市村氏は述べている。


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