IDC Japanは1月6日、働き方の未来を定義するFuture of Workstyle市場の今後の見通しを明らかにした。これによると、日本国内における2020年の市場規模は支出額ベースで3兆9091億円に達した。2020~2024年に年平均17.3%で成長し、2024年には7兆4002億円まで拡大すると予測する。
IDCでは、Future of Workstyle市場を「ワークモデルを根本的に変えるコンセプトであり、人とマシンの協働を促進し、従業員スキルと従業員エクスペリエンスを向上させ、時間や物理的な場所といった制約から解放されたインテリジェントでダイナミックな労働環境を実現すること」と定義。さらに、場所と時間にとらわれずにつながり、セキュリティが確保された環境で働く「Space」、人とテクノロジーが協働する「Augmentation」、新しいデジタルツールを使いこなし、エンゲージメントと自律性に富む従業員を育てる「Culture」の3つの領域に分類する。
同社によると、「Space」領域は3つのうちで最大の市場で、2020年に2兆4564億円の規模を有するという。2021~2024年は年平均13.9%で拡大すると予測する。ユースケース別に見ると、同領域の成長をけん引するのはOperational Performance Management(オペレーションパフォーマンス管理)を筆頭に、Automated Customer Management(自動化された顧客管理)が続く。Operational Performance Managementはモノのインターネット(IoT)機器による施設や設備の動作の確認のほか、部品や設備の交換のタイミング検知などの新規需要が見込まれる。
「Augmentation」領域における2020年の市場規模は1兆3741億円に達したとする。2021~2024年の成長率は年平均で22.1%と予測。同領域では、Collaborative Robotics(コラボレーションロボティクス)が大半を占め、高い成長を支えている。これはFuture of Workstyleの全21ケースの中で最大規模という。国内製造業の製造工場などでは既に人とロボットの協働の歴史が長いが、サービス、流通、建設/土木、運輸、医療などの現場における自動化の余地は依然として大きいとIDCは判断している。
「Culture」領域は3つの中で規模が最小で、2020年の市場規模は787億円。一方、成長率は3つの領域の中で最も大きく年平均28.2%で高成長を示すと見ている。同領域における最大のユースケースはOptimize HCM Operations(最適化されたHCMオペレーション)という。リモートワークが急拡大した状況下において人事考課の在り方を改革する動きも出ていることを背景として、最新のHuman Capital Management(HCM:人材管理)に対する認知と理解が高まり、需要が拡大すると同社は考えている。
IDC JapanのPC,携帯端末&クライアントソリューションでグループマネージャーを務める市川和子氏は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を契機としてリモートワークが拡大し、ワークスペースなどの環境整備が進んでいる。今後はリモートワークを取り入れたハイブリッドワークが定着し、Future of Workstyle市場は順調に拡大する」とコメントする。
国内Future of Workstyle市場の支出額予測、2020~2024年(出典:IDC Japan)