編集部からのお知らせ
New! 記事まとめ「ISMAP-LIU」
話題の記事まとめ「通信障害と社会リスク」

第一工業製薬、ベテラン検査員の分析技術をAIで標準化--速度6倍に

NO BUDGET

2022-01-11 07:30

 化学品メーカーの第一工業製薬と、少量データによる人工知能(AI)ソフトウェア開発会社HACARUS(ハカルス)は、「カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)」の製造工程における途中経過の判定に、近赤外線カメラなどのセンサーによる撮影とAIを組み合わせ、従来の検査速度を約6倍にする検査技術を開発した。

 これまでは検査員の経験に基づいていた判定を自動化することで、品質の高さや供給体制の安定化を実現し、検査員の負荷軽減と熟練技能の継承につなげることができる。

 セルロースを原料にしたCMCは、リチウムイオン電池から高級養殖魚の餌まで幅広い用途で活用されている。製造工程では、水分含有量の調整が不可欠で、適切な配分が決まっている。水分含有量の測定は、可視光による画像検査では難しく、従来は溶剤を用いた容積測定や、育成に5年以上かかるベテラン検査員らによる製品表面の目視検査、手で握った際の感触などで判定していた。

手で握った際の感触による水分含有量の判定
手で握った際の感触による水分含有量の判定

 今回開発した技術は、近赤外線カメラといった最新のセンサーと、撮影した画像を分析するAIを組み合わせて測定するもの。HACARUSの協力で、少量のデータでAIを構築し、外観測定技術の課題解決を実現した。CMCにカメラを当てた際に赤外線の吸収や反射の度合いが異なるため、適切な水分量の正常品に対して、水分過多であれば撮った画像が黒くなりすぎたり、水分不足であれば白くなりすぎたりする。またこの技術は、水分量の適切な状態やピーク値をグラフ化し、数値で表現できる。

データ取得の様子と仕組み
データ取得の様子と仕組み
CMC(右下)を近赤外線カメラで撮影しAIが判定した数値を確認する検査員
CMC(右下)を近赤外線カメラで撮影しAIが判定した数値を確認する検査員

 2021年11月から試験運用を開始しており、測定装置を導入したその日からベテラン検査員と同等の判定が可能になった。判定結果は客観的な数値として示されるため、共通の判断基準の構築によって、検査員ごとのばらつきを低減し、工程の標準化や供給量の安定化につながっている。また、一部製品は今まで測定値指標も手触り判定も不完全であり、トラブル停止の要因となっていたが今回の導入でトラブルをゼロにできたという。

 開発した技術によって熟練技能を可視化でき、継承が容易になったため、工程安定による製造量増加や、工場、製造ラインの拡張も見込める。

 また自動化によって、1回の測定検査にかかる作業時間は、30分程度だったのが、5分程度と約84%削減できるケースが見られた。こうした効果により、第一工業製薬では、人件費をはじめ、検査や検査員育成のコストが今後2〜3年で50%程度削減できると見込んでいる。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    【講演資料】Sentinel運用デモ-- ログ収集から脅威の検知・対処まで画面を使って解説します

  2. セキュリティ

    SASEのすべてを1冊で理解、ユースケース、ネットワーキング機能、セキュリティ機能、10の利点

  3. ビジネスアプリケーション

    北海道庁、コロナワクチン接種の予約受付から結果登録まで一気通貫したワークフローを2週間で構築

  4. セキュリティ

    Sentinel運用デモ-- ログ収集から脅威の検知・対処まで画面を使って解説します

  5. セキュリティ

    セキュアなテレワーク推進に欠かせない「ゼロトラスト」、実装で重要な7項目と具体的な対処法

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNet Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]