KDDIは1月12日、2023年春をめどにタイ・バンコクにデータセンター(DC)「TELEHOUSE Bangkok(テレハウスバンコク)」を新設すると発表した(図1)。同日に開催された説明会では、同社のDC事業やタイに設立する背景、設立におけるこだわりについて解説した。

図1:TELEHOUSE Bangkokの完成イメージ
KDDIの法人事業には、コア事業に「固定通信」「モバイル」「第5世代移動通信システム(5G)」、NEXTコア事業に「コーポレートデジタルトランスフォーメーション(DX)」「ビジネスDX」「事業基盤サービス」があり、双方のシナジーを狙っている。
近年、コーポレートDXの領域ではコロナ禍でテレワークなどが急速に普及しており、企業の本業を支えるビジネスDXも5GやIoTに後押しされている。DCはこれらのDX領域を支える事業基盤サービスの一環として位置付けられている。
KDDIが手掛けるDCブランド「TELEHOUSE」は、国内外の主要都市45拠点以上に展開している。1990年頃、ネットワークにつながるデータの拠点として稼働を開始した。国内では東京・大手町、海外では英・ロンドン、米・ニューヨークなどで展開している。
中でも「TELEHOUSE London」は、DC内の事業者間接続数が848で世界1位だという。2位のInterxion(独・フランクフルト)における事業者間接続数は472で、2位以下に大きく差をつけている。TELEHOUSE Londonはインターネットの黎明(れいめい)期から稼働しており、英国におけるインターネットトラフィックの約7割が同DCを通過している。
インターコネクションDCは、コンテンツプロバイダーとエンドユーザーがつながる場としてエコシステムを形成している(図2)。まず、エンドユーザーとつながるために通信事業者が参加し、通信事業者とつながるために大手クラウドプロバイダーが入ってくる。大手クラウドプロバイダーが擁しているハイパースケールDC(コンテンツの保管・処理を行うDC)がインターコネクションDCにつながる。

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説明会に登壇した執行役員 ソリューション事業本部 サービス企画開発本部 副本部長の丸田徹氏は、「こうして通信事業者とクラウドプロバイダーがつながる環境が構築されると、環境が良いことから他のコンテンツプロバイダーも集まってくる。お客さまがお客さまを呼ぶ相乗効果がある」と語った。
今後はリッチコンテンツ(動的な要素を含むコンテンツの総称)の増加に伴い、インターコネクションDCのエコシステムも一層必要とされるという。エンドユーザーとコンテンツプロバイダーをつなげるインターコネクションDCは、地域密着型であることが求められる。こうしたモデルは欧米では確立されつつあり、今後は東南アジアでの展開が見込まれる。
東南アジアにおけるトラフィックの集積拠点は香港とシンガポールだが、これからは国単位で集積拠点が設立されるとKDDIは予想している。バンコクでのDC設立は、インターコネクションDCを国ごとに置く第一歩として位置付けられている。