富士通は1月17日、災害などの緊急時における従業員の安否確認やテレワーク下における従業員の健康状態の把握などに活用できる「FUJITSU Public Sector Solution Social Century Resilience 統合コミュニケーションサービス alwaive(オールウェイブ)」の提供を開始した。これにより、企業の事業継続と生産性向上を支援する。2023年度末までに130ユーザーへの導入を目指す。
同サービスは、端末にデータを残さない仕組みのため、個人所有のスマートフォンを安全に活用できるという。従業員はビジネスチャットツールやメールで緊急時の安否を連絡したり取引先の被災状況を確認したりできるほか、日頃の業務の進ちょく状況や毎朝の健康状態を報告することも可能。企業にとっても複数のツールや社用端末を導入する必要がなく、設備コストの削減やシステム管理者の運用負荷軽減が期待される。
コロナ禍や自然災害など予期せぬ事態が起きる中、災害発生時における自社や取引先の被災状況の確認など、事業継続に向けた迅速な対策が急務となっている。また、テレワークの急速な普及に伴い働き方が多様化し、従来対面で行っていた従業員の健康状態や勤務状況、業務進ちょくをリアルタイムに把握することが難しくなっている。これらを円滑に行うためのコミュニケーションツールの導入では、従業員全員へ社用端末を支給しなければならないなど、コスト面に課題があった。
そこで富士通は、緊急時における被災状況の確認から平時の社内コミュニケーションまでを一つのツールで遂行できる同サービスを開発し、提供に至った。
同サービスでは、災害が発生した際、気象庁から配信される災害情報を基に安否確認の通知が自動でチャットに届く。従業員は、その通知に付加された質問に回答することで安否状況を報告できる。回答結果は自動集計機能により一覧表にまとめられるため、システム管理者は専用のURLにアクセスすれば全従業員の安否状況や出社可否を一目で確認できる。
安否確認の通知と状況一覧のイメージ
また、取引先の調達部門担当者などのメールアドレスをあらかじめ登録しておくことで、災害時に被災状況の確認メールを速やかに送信し、自社に納入する物資の納品可否について回答を受け取り、集計することが可能。回答内容は取引先ごとに集計され、各社の状況を把握できるため、自社の事業に与える影響を迅速に知ることが可能となる。
取引先の被災状況の画面イメージ
緊急時だけでなく、平時のコミュニケーションツールとしてビジネスチャットツールやIP電話、電話帳を利用できるため、テレワーク環境でも手軽にやりとりすることが可能。日頃の健康状態やその日の出勤状況なども選択式で容易に報告できる。
ビジネスチャットの画面イメージ
同サービスで扱うデータは通信が暗号化され、国内のデータセンターに保管されるため、チャットのメッセージや電話帳の連絡先データは一切端末に保管されない。
端末を紛失した場合は、同サービスのヘルプデスクから遠隔操作でアプリケーションをロックできるため、不正利用を防止することが可能。こうした仕組みにより、個人所有のスマートフォンを活用できるため、従業員は社用端末と個人端末の2台を管理する必要がなくなり、企業は社用端末を配備するコストを削減できる。
富士通は今後、防災訓練での活用をはじめとする同サービスの社内実践を進めるとともに、ニューノーマル社会における働き方改革を支援するソリューション「FUJITSU Work Life Shift」として提供する。