日立製作所、日立建機のDX加速を支援--OT/ITデータの活用基盤を構築

ZDNET Japan Staff

2022-01-20 14:13

 日立建機と日立製作所は、日立建機のデジタルトランスフォーメーション(DX)加速に向けて、建設機械の稼働情報(OTデータ)や生産・販売・在庫情報(ITデータ)などを一元管理し、データの利用/活用を促進するプラットフォーム「DX基盤」を構築した。日立製作所が1月20日に発表した。

 建設機械業界では、機械の稼働状況や修理履歴などの情報を活用し、適切なタイミングでの点検・保守につなげるよう、他業界に先駆けてDXの取り組みが進んできたという。日立建機でも、世界中で販売・レンタルする建設機械に装着したセンサーからデータを収集して、稼働状況の把握・遠隔監視を行う「Global e-Service」や、そのデータを活用して機械の効率的な保守・運用をサポートするソリューション「ConSite」の提供を開始するなど、顧客のライフサイクルコスト低減を支援してきた。

 DX基盤は、生産・販売・在庫といった業務情報や建設機械の稼働情報など、複数のシステムやアプリケーションに分散するデータを集めて一元管理し、ConSiteなどの各種ソリューションと連携する。画像などの膨大なデータを効率的に管理する機能、高度な分析を行うための機械学習、人工知能(AI)を用いた分析ツールを備えており、複数のデータや条件を掛け合わせたデータ分析を迅速に行うことが可能になる。

DX基盤の概念図(出典:日立製作所)
DX基盤の概念図(出典:日立製作所)

 基盤の環境構築に当たっては、パブリッククラウドを活用したITインフラ構築・運用に関する日立製作所のノウハウで安全性を担保するとともに、「Infrastructure as Code」(IaC)と呼ばれるITインフラ構築をコード化する手法を採用することで、運用までを見据えた環境を迅速に構築した。今後、経営方針や世の中の動向に合わせて新たなアプリケーションが必要になった場合にも、基盤の開発環境と本番環境を連携させることで、アプリケーションの開発から運用まで柔軟に対応する。

 2022年度から、日立建機の連結子会社で、国内の建設機械の販売や部品・サービス事業などを担っている日立建機日本は、自社の販売・サービス・レンタル・中古車の各担当者を対象に、「営業支援アプリ」の運用を開始予定。これまで別々のシステムで管理されていた、顧客の保有機械の稼働率や稼働時間、購入・レンタル・修理などの取引情報やメンテナンス計画、新車・中古車・レンタル車の在庫情報などが、基盤の活用によって営業支援アプリでまとめて閲覧できるようになる。また、それらのデータをもとに、AIによって判断された複数パターンの提案内容を瞬時に表示することも可能という。

 具体的には、AIの分析をもとに「この機械は長期間使っているから更新時期が近いと思われる」「稼働率が高い機械の現場に対し、購入またはレンタルによる増車の提案ができる」「使用頻度が少ない機械は、買い取りを提案できる」など、顧客の保有機械の状況に応じた提案を、アプリを活用する全ての担当者が行えるようになる。これによって、顧客は中古車やレンタル車の並行した運用や保有機械の中古車下取りなど、これまで以上に効率的な機械の運用方法を検討可能になる。

 日立建機グループは、DX基盤にConSiteや施工ソリューション「Solution Linkage」などのデータも連携することで、世界規模でのサービスメニューの拡充も検討している。

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