東日本電信電話(NTT東)は地域密着型デジタルトランスフォーメーション(DX)コンサルティング企業「NTT DXパートナー」を1月31日に設立する。1月24日に発表した。
代表取締役社長へ就任予定の矢野信二氏は「デジタル化やデータを駆使した業務変革の推進や新事業展開する民間企業、スマート化を実装する自治体が増えてきた。われわれは顧客の事業をともに考え、事業変革の成功にコミットする。いわばビジネスパートナーという役割」だと、NTT DXパートナーの方向性を説明した。同社は2025年度までにコンサルティング費用やサービスデザインに基づいた基盤構築、運用を含めたシステムインテグレーション(SI)業務を含めて単年度収益100億円を目指す。
(左から)東日本電信電話 代表取締役副社長 兼 NTT DXパートナー 代表取締役社長 矢野信二氏、NTT DXパートナー 代表取締役 長谷部豊氏(いずれも就任予定)
相談できない中小企業
NTT東が提示した富士キメラ総研の「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編」(1月発刊)によれば、2020年度の国内DX市場規模は1兆3821億円だが、2030年度までに5兆1957億円まで拡大すると予測。年平均成長率(CAGR)で見ると14.2%の成長率である。
だが、中小企業や自治体におけるDX需要は高いものの、実際に取り組んでいる企業や自治体は少ない。その理由としてNTT DXパートナー 代表取締役 長谷部豊氏は「自治体はDXを理解する専門人材が不足し、中小企業も相談先に困っている」からだと分析した。
このような背景を踏まえたNTT東は、地域企業や大学、自治体のDXコンサルティングから実装までを支援するNTT DXパートナーを設立する。同社の業務は(1)DXコンサルティング(2)DX実装・推進支援(3)DXアセットシェア――の3柱から成り立つ。
(1)のコンサルティングは「顧客の事業変革や街作りなどのDX構想から戦略策定支援を行い、具体的なビジネスやサービスのデザイン、UX体験のデザインを支援。さらに顧客のDX体制を確立するための人材育成なども手掛ける」(長谷部氏)
(2)のDX実装・推進支援は「各デザインに基づき、デジタルサービス基盤や関連する情報システムの設計構築、運用支援を行う。また、新規事業のビジネスパートナー募集や産官学連携の調整といったエコシステム構築を支援する。(実装・支援から得た)データを各デザインの価値向上につなげるなど、価値創造のサイクルを作り上げ行く」(長谷部氏)
(3)のDXアセットシェアは、「NTT東日本グループやNTT研究所、ビジネスパートナーが持つDX知見や技術などを共有し、顧客のDX推進コスト抑制やスピードアップにつなげていく」(長谷部氏)。たとえば顧客企業が農業分野であれば、農業のIT活用を推進する「NTTアグリテクノロジーと連携するなど、業界ドメインに深く入り込んだビジネスパートナーと課題解決に取り組む」(長谷部氏)
NTT DXパートナーはNTT東100%の子会社となり、資本準備金は4.9億円。同社事業は「自治体が3~4割、残りが中小企業」(長谷部氏)を対象としている。
※クリックすると拡大画像が見られます