SUSE、「Rancher Desktop 1.0.0」リリース--デスクトップで「Kubernetes」を管理可能

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2022-01-31 14:24

 「Kubernetes」ユーザーであればご存じのように、「Rancher」はさまざまなインフラを横断して複数のKubernetesクラスターを実行、管理するための完全なソフトウェアスタックとして人気を集めている。そして今回、Linuxおよびクラウド分野の大手であるSUSEは、Rancher Labsの買収以降初となる新プログラムとして、「Rancher Desktop 1.0.0」をリリースしている。

 「Rancher Desktop」は、Kubernetesコンテナー管理の学習や試行、テストを可能にするオープンソースのプログラムだ。このプログラムは現在、「M1」プロセッサーあるいはIntel製プロセッサーを搭載している「Mac」、「Windows」マシン(「Windows Subsystem for Linux:WSL」が必要)、Linuxマシンで稼働する。

 これは、「Node.js」を活用した「Electron」アプリケーションであるため、多くのプラットフォームで実行可能だ。その主なビジネスロジックは「TypeScript」と「JavaScript」で記述されている。また実行時には、プラットフォームとしての機能を提供するために複数のプログラムを活用している。こういったプログラムには「K3s」や「kubectl」「nerdctl」「QEMU」、WSLが含まれている。

 もちろん、各OSでこれらのコンポーネントすべてが必要とされているわけではない。例えばWSLは、そもそも「macOS」やLinuxで必要ない。

 ソースコードからプログラムをビルドする際、「Node v16」の使用が推奨されている。Windowsの場合には、「Go」も必要となる。またLinuxの場合には、実行時にQEMUが必要となる。

 これにより、Rancher Desktopでは以下の機能が利用可能になる。

  • Kubernetesのどのバージョンを実行するのかを選択できるようになる。
  • Kubernetesのバージョンを切り替えて、自らのワークロードがKubernetesの新バージョンでどのように動作するのかを確認できる。
  • nerdctlによるコンテナーの実行や、イメージのビルドやプッシュとプルが可能になる。
  • Kubernetes上でアプリケーションを公開し、ローカル環境からのアクセスを可能にできる

 要するに、これらの機能によって特定のKubernetesを本番環境で試す前にローカル環境でテストできるようになるということだ。

 Rancher Desktopでは、コンテナーエンジンとして「containerd」と「dockerd」のどちらを使用するのかを、外部インターフェースに影響を与えることなく内部的に決定できる。nerdctlを使うか「Docker」のコマンドラインインターフェース(CLI)を使う際に自らで決定できるのだ。これらのCLIによって、コンテナーイメージをビルド、プッシュ、プルし、コンテナーを実行することができる。

 これらのツールでビルドしたイメージは、レジストリーからプッシュ/プルする必要なく、Kubernetes上で直接実行することができる。また、dockerdのランタイムを選択した場合、他のツールが使用するためのDockerソケットが利用可能になる。これにより、Dockerソケットと直接通信する、「k3d」といったツールが利用できるようになる。

 プログラムは1.0リリースとされているが、まだ初期段階にある。SUSE Rancherチームは今後、機能やバグの修正などに関わる安定したリリースのプロセスを提供することを約束している。これには、想定されたスケジュールでバグを修正する定期的なパッチリリースが含まれる。チームは、機能リリースに含まれる小規模な機能や、より大型の問題にも活発に取り組んでいる。例えば、シンプルなものでは、VPNに接続する際のネットワークサポートの改善などだ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]