コンテナーは、今日発展しつつある、人工知能(AI)分野からエッジ分野に至るまでの最先端アプリケーションを支える重要なビルディングブロックとなってきた。コンテナーというかたちでカプセル化されたアプリケーション部品はオーケストレーションが必要となり、「Kubernetes」はその実現に向けた媒体となる。それと同時に、最近の調査結果によるとKubernetesベースのアプリケーションを企業の要求に見合うものにするには時間と教育が必要だということが分かってきている。
提供:Joe McKendrick
SlashDataはCloud Native Computing Foundation(CNCF)の依頼を受け、「State of Cloud Native Development Report」(「クラウドネイティブ開発の現状」)レポートを作成した。このレポートには、7000人のバックエンド開発者を対象にした、Kubernetesとコンテナーに関する認識や利用形態についての調査結果も記されている。それによるとKubernetesベースのコンテナー配備が増加してきているという。この調査では、2020年〜2021年にKubernetesの採用が急増し、少なくとも560万人の開発者が関わるようになり、1年前に比べると67%増加したとしている。こうした開発者らはバックエンド開発者全体の31%を占めているという。
また同レポートによると、コンテナーやKubernetesベースの配備において最も多かったユースケースがエッジコンピューティングだという。エッジ分野の開発者のみで見た場合、Kubernetesの利用が過去12カ月で11ポイント増加し、63%になったという。エッジコンピューティングとともに、コンテナーやKubernetesが活用されているアプリケーションの形態は、現代の最先端分野に位置するものとなっている。以下は調査結果からの抜粋だ。
- エッジコンピューティング(コンテナー利用が76%、Kubernetes利用が63%)
- 量子コンピューティング(それぞれ65%と59%)
- ハプティックフィードバック(それぞれ61%と56%)
- DNAコンピューティング/ストレージ(それぞれ69%と56%)
- 5G(それぞれ64%と54%)
- 暗号資産(仮想通貨)以外のブロックチェーンアプリケーション(それぞれ68%と52%)
- コンピュータービジョン(それぞれ68%と45%)
- 対話型AI(それぞれ61%と44%)
- ロボティクス(それぞれ56%と42%)
CNCF/SlashDataのレポートではこれと同時に、Kubernetesの潜在的優位性をITプロフェッショナルらに明確に理解してもらうために、さらなる教育が必要だということも示されている。同レポートの著者らは「Kubernetesはクラウドネイティブな分野において、プラスのトレンドを明確に示しているようであり、今後も成長を続けていくのはほぼ間違いない」と記す一方で、「Kubernetesに対する認識は全体的に大きく高まってきているが、バックエンド開発者の多くはKubernetesで何ができるのかについて、はっきりと理解していない」と続けている。実際のところ、バックエンド開発者の21%は「Kubernetesについて耳にしたことはあるが、何をするものなのかよく分からない」と答えており、11%は「Kubernetesについて聞いたこともない」とさえ答えている。