NVIDIAがArmを買収する意向を明らかにして以来、この計画は物議を醸していた。NVIDIAと、Armの親会社ソフトバンクグループは2月8日、買収が白紙になったことを明らかにした。Armの最高経営責任者(CEO)に新たに就任したRene Haas氏は、同社が「今後、成長していく体制が整っている」とコメントした。
NVIDIAは2020年9月、Armの全株式を取得することを発表した。ソフトバンクが現金120億ドルと、215億ドル相当のNVIDIA株を受け取り、Armが一定の業績を達成した場合にはさらに最大50億ドルを受け取ることになっていた。
NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏は当時、この買収を「相互補完的なもの」だとし、Armのブランディングとともに、「オープンなライセンシングモデルと顧客の中立性」は維持されると述べていた。
しかし、買収には米国、欧州連合(EU)、英国、中国の規制当局の承認が必要となるほか、数々の問題が指摘されていた。
NVIDIAはこれまで、IntelやAMDといった企業との協業を含む、競合他社との歴史を挙げ、買収に対する批判を和らげようとしてきた。しかし、取引を完了させるには不十分だったようだ。
NVIDIAとソフトバンクは同日、「取引完了のために誠意を持って取り組んできたが、これを阻む規制上の大きな課題があった」ため、契約の解消に至ったと共同で発表した。
Armの新CEOには、退任したSimon Segars氏の後任としてHaas氏が就任する。また、Armは株式公開に向けて準備を進めていることを明らかにした。ソフトバンクグループはArmと連携し、2023年3月期中のArmの株式上場の準備に入るとしている。
上場を目指す部分は、同社がソフトバンクに買収される前に存在した「クラシック」Armにより近いものになるとHaas氏は述べている。同氏によると、知的財産(IP)のライセンスに重点を置いており、今後もその路線を踏襲するものの、コンピュートとともに、IoTから自動車の分野に至るまで、新規テクノロジーにも焦点を当て、以前より「はるかに多様化した事業」を展開していくという。
Haas氏はArmの今後について問われ、NVIDIAのリソースやリーチがなくても未来は「明るい」と考えていると答えた。
Haas氏は「われわれはクラウドやデータセンター、自動車分野でマーケットシェアを拡大させることに大きく成功してきた」とし、「マーケット主導のアプローチ」に軸足を置き、不採算事業から撤退したことで、同社の位置づけを向上させたと述べた。
ArmはIoTのほか、メタバースでも今後の機会を模索する考えだという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。