「Raspberry Pi」の新ブートローダーがリリース--OSのネットワークインストールが可能に

Liam Tung (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2022-02-14 07:50

 Raspberry Pi Foundationが新しいブートローダーをリリースした。これを使用すると、別のコンピューターを経由することなく、「Raspberry Pi」に直接OS(公式OSなど)をインストールできる。

 これまで、Raspberry Piの所有者がPiデバイスにOSをインストールするには、「macOS」「Windows」、または「Ubuntu」デスクトップにインストールされたイメージ書き込みツールを使用する必要があった。別のPiデバイス経由で実行することも可能だが、この場合は、それぞれのデバイスにSDカードリーダーを接続する必要がある。新しいRaspberry Piブートローダーはネットワークインストール機能を提供するので、2台目のコンピューターを使わずにOSをインストールすることが可能だ。

 Raspberry Pi Foundationは、ネットワークインストーラーをベータ版としてリリースし、ネットワーク経由で空のSDカードにOSをインストールした体験についてユーザーのフィードバックを求めている。

 Raspberry PiのソフトウェアエンジニアのPeter Harper氏は、「そもそも2台目のコンピューターがない場合、どうすればOSをSDカードに書き込めるのか。これは古典的な鶏が先か卵が先かという問題だ。われわれは今回、それを解決した」と述べている。

 Raspberry Piのサポートノートによると、新しいブートローダーを使用すれば、「Raspberry Pi Imager」を実行するための2台目のコンピューターは不要で、代わりに「『Raspberry Pi 4』または『Raspberry Pi 400』をイーサネットケーブルでインターネットに接続して、ImagerをそのPiデバイス上で直接起動する」ことが可能だという。

 ベータ段階のブートローダーの使用に関しては、いくつか注意点がある。サポートされるのは、Pi 4やRaspberry Pi 400など、最新のハードウェアのみであり、「Raspberry Pi 3」以前のデバイスは対象外だ。また、既存のボードを使用しているユーザーは、ブートローダーを更新する必要がある。

 ベータ期間終了後は、新しいネットワークブートローダーがRaspberry Piデバイスに標準でインストールされるので、ブートローダーの更新は不要になる。また、Raspberry Piのブートローダーの更新に使用されているSDカードは完全に消去される。

 サポートノートには、以下の注意事項が記載されている。

  • 「通常の起動」の速度低下を避けるため、ネットワークインストール機能は、起動可能なメディアが存在せず、起動順序の選択肢にUSBマスストレージブートがある場合にのみ有効になる。
  • すでに流通している既存のボードでは、ブートローダーの更新が必要になる。ただし、ベータ期間終了後は、工場で新しいネットワークブートローダーがRaspberry Piボードにインストールされるようになる。
  • ベータブートローダーのインストールは「かなり安全なはず」だが、問題が発生した場合にデフォルトのブートローダーを復元できるように、予備のSDカードを用意しておいた方がいいだろう。

 試してみたいユーザーは、Imagerアプリケーション内でベータブートローダーを選択するといい。「Choose OS」ボタンをクリックすると、ポップアップウィンドウに「Operating System」リストが表示されるので、「Misc utility images」をクリックして、「Beta Test Bootloader」を選択する。

 Raspberry Pi Foundationによると、ネットワークインストールオプションは、Raspberry Pi Imagerの組み込み版をraspberrypi.comからメモリーに安全にダウンロードし、RAMディスクとして実行するという。

 近頃は、世界的なチップ不足の影響で、新しいRaspberry Piを入手するのが困難になっており、Raspberry Piデバイスの初めての値上げも実施された

 複数の再販業者がRaspberry Pi 4の在庫切れを報告しているにもかかわらず、Raspberry Piの最高経営責任者(CEO)のEben Upton氏は先頃、米ZDNetに対して、供給ではなく「需要」の問題に直面していると語った。ただし、Upton氏は、Raspberry Piが「逼迫した市場」で事業を展開していることを認めた。

 Upton氏は米ZDNetへの電子メールで、「われわれは、可能な限り速いペースでRaspberry Pi 4を製造しており、第1四半期には(多数の「Compute Module」や古い製品とともに)約100万台が製造されている」と語った。

 「2021年と同様、供給が少ないのではなく需要が多いと言った方が適切だ。2021年には、700万台以上のRaspberry Piを出荷した。2020年も同じペースで進んでいる。したがって、製品は供給されているが、市場が逼迫していることも確かだ」

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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