凸版印刷は2月14日、従来の職能等級制度に「ジョブ型」の要素を加えた「トッパン版ジョブ型人事処遇制度」の導入など、人事諸制度の改革を2022年4月から実施すると発表した。これにより、社会の変化に対応し、従業員の「働きがい」向上を推進する。
同社は、デジタルシフトの加速や、コロナ禍による事業環境の変化に対応するため、中期経営計画を2021年5月に公表し、重点施策である「事業ポートフォリオの変革」「経営基盤の強化」「ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:企業統治)への取り組み深化」の一環として、働き方改革を進めている。
今回、経営戦略やビジネスモデルの変革と一体となった人財戦略を策定し、全職種統一の職能等級制度から職群別の要素を取り入れた等級制度に再構築する。年功制撤廃の観点から、各等級における在位年数も規定しない。
新たな人事諸制度では、これまで全職種共通で5段階設けていた等級を3段階にすることで、若手の登用を促進する。一方、上位等級においては「事務/管理部門」「営業/企画部門」「研究/開発部門」「デジタルトランスフォーメーション(DX)部門」の職群ごとに、役割や職務に基づいて最多6区分の「グレード」を用意し、職群ごとの成果に応じた処遇につなげる。こうした特徴から、凸版印刷は同制度を「ジョブ型」の要素も取り入れた「トッパン版『ジョブ型』人事処遇制度」としている。
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半期ごとの業績に対する人事考課は5段階評価から8段階評価にし、きめ細かい評価により従業員の働きがい向上を図る。評価の指標には、「持続可能な社会の実現」「ダイバーシティー」「人権の尊重」「社会的価値の創造」を追加する。上位等級では、考課の結果に応じた額の手当を支給し、目標達成への意欲を高める。
昇給制度については、加点主義の観点を取り入れ、従業員の「挑戦」に向けた行動を高く評価する一方、考課の結果によっては降格させる仕組みも導入する。降格になっても、もともとの等級にふさわしいスキルや能力を身に付ければ、再昇格も容易にできるという。
加えて、従来は定年を60歳とし、最長65歳までシニア社員として再雇用としていたが、シニア社員が現役世代と遜色なく、またはそれ以上のパフォーマンスを発揮し得るという実感から、定年を65歳に引き上げる。定年後再雇用制度も改定し、最長70歳まで働けるようにした。
社外副業・兼業については、事前に会社から許可を得て、月40時間以内であれば可能とする。45歳以上の従業員においては「セカンドキャリア副業・兼業制度」として、週2日を上限に所定労働日にも副業・兼業を行うことを許可する。
同社は「企業は人なり」という信念のもと、価値創造の源である従業員に多様な働き方ができる環境を提供し、自律的なキャリア形成を支援することで、働きがいの向上を目指す。
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