米中央情報局(CIA)が複数の米国民の情報を含むデータを大量に収集していたとされる件で、米上院議員2人が新たに判明したプログラムに関する透明性を高めるようCIAに要求した。
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プログラムの存在は米国時間2月10日に公になった。米民主党のRon Wyden上院議員とMartin Heinrich上院議員が2021年4月にCIAに宛てた書簡の機密指定が同日解除されたためだ。公開された書簡は多くの部分が黒塗りにされている。上院情報委員会に所属するWyden氏とHeinrich氏はこの書簡で、CIAのデータ収集プログラムに関するプライバシー・市民的自由監視会議(Privacy and Civil Liberties Oversight Board:PCLOB)の報告書の機密指定を解除するよう要求していた。また、この書簡自体の機密指定を解除することも求めた。
書簡は公開された時点で黒塗り部分が多く、収集されたデータの種類や時期は明らかになっていない。プログラムが現在も実施されているかも分かっていない。書簡によれば、この大量のデータ収集は大統領令に基づいて承認され、実施された。議会が定めた枠組みとは関係なく、議会や司法機関、行政機関による監視がない状態で行われたという。
両議員は10日、PCLOBによる報告書の重要性を訴える声明を発表している。
両議院は、「これらの文書が示しているのは、米市民がプライバシーや人権に関して抱いている多くの懸念が、大統領令に基づき、外国情報監視法(FISA)をかいくぐって、CIAがいかに情報を収集し、扱っているかということにも当てはまるということだ」と指摘した。
収集された記録の種類、収集にどのような法的根拠があるのかなど、より詳しい情報をCIAは明らかにすべきだと両議院は主張している。また、PCLOBの報告書は、CIAのプログラムにおける米国民の情報の取り扱いや調査に問題があることを指摘するものだったと述べている。
米CNETの取材に対し、CIAはコメントしていない。CIAのプライバシーおよび人権責任者のKristi Scott氏はThe Wall Street Journalに宛てた声明で、CIAは「米国市民のプライバシーと人権を尊重する」義務について「認識し、真剣にとらえている」と述べている。また、CIAは「機密情報の情報源と手法を保護するわれわれの義務に沿って透明性を持つことに尽力している」としている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。