2022年にデジタル部門を拡大して需要に応えようと考えている企業の先行きは、厳しい道のりになるだろう。最近では「大量離職(Great Resignation)」「大交渉(Great Negotiation)」「大再編(Great Reshuffle)」などの言葉が行き交っているが、その背景にある前提は同じだ。大量の労働者が2022年、高い給与やより柔軟な働き方を求めて離職しようとしている。この事態によって、ITプロジェクトは頓挫し、組織の人材不足は拡大し、IT分野での採用競争もかつてないほど熾烈なものになるはずだ。
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高い給与を提示し、充実した福利厚生パッケージを提供することももちろん重要だが、企業が本当に必要としているIT人材を集めるには、他社との差別化を図る必要がある。企業と若い労働者の間に断絶があることはすでによく知られているが、その原因の一端は、社会が若者に技術分野のキャリアを追求する意欲を失わせていることにもありそうだ。企業がこのギャップを埋めるためには、自分たちが引き付けようとしている若い労働者とのつながりを作り始める必要がある。その手段の1つが、「グリーン思考」だ。
最近では社会の環境意識が高まっており、企業は自分たちが注目されていることに気づいている。企業は、新たに定められた世界水準のガイドラインに合わせて温室効果ガス排出量を(時には劇的に)削減しなければならないだけでなく、環境に対する意識が高く、自分が働く企業が気候変動との戦いに参画することを望む、若い世代の労働者からの懐疑的な視線にも晒されている。
最近、雇用コンサルティング企業のRobert Halfが、英国の労働者2000人を対象として実施した調査では、労働者の38%が、所属企業がESG(環境・社会・ガバナンス)の問題に十分な取り組みをしていないと思えば転職するかもしれないと回答していた。特に18~34歳の労働者は、企業にESGの問題に対する説明責任を果たすことを求める可能性が高く、この年齢層の回答者の47%は、所属企業が問題に取り組んでいなければ転職するかもしれないと述べている。
ITサービス・コンサルティングを提供しているCognizantが実施した調査でも、若い労働者の雇用や維持に、ESGが重要な役割を果たすことが明らかになった。