東芝インフラシステムズは、東海旅客鉄道(JR東海)に人工知能(AI)による自動学習・制御最適化機能を備えた制御指令伝送装置、Hybrid-SiC(シリコンカーバイド)素子を適用した車両制御装置をはじめ、主電動機、空調装置(インバーター式)、主幹制御器などの電気品を納入した。納入した製品は、3月5日から中央本線で運行している在来線通勤型新型車両「315系」で活用される。
315系車両
東芝インフラシステムズは2020年に315系車両352両の電気品を受注し、56両(7編成)分の納入が完了した。今後、2025年までに順次納入する。
また、同社グループのリチウムイオン二次電池「SCiB」を使用した非常走行用蓄電装置を2022年度に納入する予定。同装置搭載後は、停電時などに最寄り駅までの走行が可能となるほか、空調装置を非常時の補機負荷として稼動させる場合は、インバーターによる低消費電力の動作モードで電力を有効活用できる。
今回納入した制御指令伝送装置は、地上サーバーへ送信された全車両の温度、湿度、乗車率などのデータを基に、サーバー内のAIが乗務員による空調手動補正などを自動学習した結果をフィードバックする。これにより最適化した制御が可能となる。
車両制御装置は、主電動機を駆動するVVVF(Variable Voltage Variable Frequency:可変電圧可変周波数制御)インバーター装置と、空調などのサービス機器や制御機器に電源を供給する補助電源装置で構成されている。インバーター装置の素子として、従来のSi(シリコン)に代わって Hybrid-SiCを用いることなどにより、電力消費量が約35%低減(211系との比較)する。
空調装置は冷房能力が従来より約3割向上(211系との比較)している一方、インバーター方式の採用とコンプレッサーに永久磁石同期電動機を採用することで、同社の既設空調装置に比べて省エネ性も両立している。