海外コメンタリー

マイクロソフト「Pluton」チップ活用、初のArm版「Windows 11」ノートPCへの期待

Liam Tung (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2022-03-10 07:30

 Microsoftのセキュリティプロセッサーアーキテクチャー「Pluton」を利用した、初めてのArmベース「Windows」ノートPCが2022年に発売される。Qualcommの最新チップセットである「Snapdragon 8cx Gen 3」を搭載した、Lenovoの新型ノートPC「ThinkPad X13s」だ。

ThinkPad X13s
提供:Lenovo

 MicrosoftがPlutonについて発言し始めたのは2020年11月のことで、同社はこのチップを搭載したPCが登場するまでには数年かかると予想していた。同社は2022年1月に、「AMD Ryzen 6000」を搭載したLenovoの「ThinkPad Zシリーズ」にPlutonが搭載されることを明らかにしたが、今度はArmベースのQualcomm製モバイルチップセットを採用したLenovoの最新ノートPCにPlutonが活用されることになった。

 AMDのプロセッサーを採用したThinkPad Zシリーズの出荷は5月に予定されているが、Mobile World Congress(MWC)で発表されたばかりのPlutonチップを活用したThinkPad X13sは、米国では2022年中にAT&TとVerizonから発売される予定だという。価格は1099ドル(約12万円)からに設定されている。いずれのモデルも、狙っているのはビジネス市場のようだ。

 Plutonはマイクロソフトにとって重要な意味を持っている。このチップは「Windows 11」のセキュリティ機能の中核的存在となり、OSの起動、アイデンティティ、認証情報、暗号鍵の保護に使用されるためだ。

 Plutonは、暗号鍵などの秘密を要するデータを、デバイスのプロセッサーのダイに組み込まれたハードウェア内で、安全に保管できるように設計されたセキュリティプロセッサーアーキテクチャーだ。このプロセッサーを利用すれば、デバイスが物理的に奪われたとしても、攻撃者がデバイスにアクセスするのが困難になる。PlutonはSoCのダイ上に組み込まれているため、SoCとマザーボード上の他のコンポーネントとの間でデータを受け渡すバスインターフェースなどの、潜在的な攻撃対象を作らずに済む。

 Microsoftは、Plutonを開発するにあたっての最初のパートナーとしてIntelの名前を挙げていたが、AMDやQualcommとも連携している。実際、Plutonの設計が最初に取り入れられたのは、2013年に発売された「Xbox One」のDRM機能だったが、このゲーム機にはAMDのプロセッサーが採用されている。

 MicrosoftのエンタープライズおよびOSセキュリティ担当バイスプレジデントであるDavid Weston氏は、ブログ記事の中で、他社とのコラボレーションで上げたハードウェアとセキュリティに関する成果の一部を詳しく紹介している。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]