NECは、顧客が保有するデータを人工知能(AI)で分析し、関連性が高い社内外の情報と組み合わせてデータを補完・拡張するサービス「NEC Data Enrichment」において、新たにSoftware as a Service(SaaS)型サービス「NEC Data Enrichment Portal」を提供した。同社は今後、データ分析が積極的に活用されている発注業務や商品開発業務などを中心に幅広い顧客に同サービスを提案し、今後3年間の累計売上5億円を目指す。税別価格は月額50万円から。
Data Enrichmentは、テキストデータなどの非構造データから分析に適した構造化データへの変換や、データの意味を予測して関連性や類似性が高いとAIが判断した情報との統合を行う。これにより、専門家の知識やスキルを必要とすることなくデータの統合・正規化・標準化といった分析前のデータ準備工程を効率化し、データに基づく意思決定に貢献する。
同サービスにより補完・拡張されたデータを用いることで、顧客はより多面的なデータ分析が可能となり、保有データだけでは得られない新たな知見を導出したり、分析精度を向上したりできる。同サービスの活用により、専門家が人手で行う場合と同等品質のデータ補完/拡張作業を約10分の1の時間で完了することが可能だという。
Data Enrichment PortalはData Enrichmentと比較し、グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)上の操作のみでデータの拡張・補完が可能なため、データ分析に関する専門性を有しないビジネス部門も手軽に利用できる。
SaaS版サービスの新機能として、テキストデータの補完/拡張機能がある。あらかじめ分類タグを設定しておくと、例えば営業日報などのテキストデータに対し、AIがタグとの関連性や類似性のスコアを出力して統合する。
なお、SaaS版サービスの提供に先行して、ADKマーケティング・ソリューションズとテレビスポット個人視聴率予測システム「Spot-Navi」での予測高度化に向けた実証を1月から実施している。今回の実証では、番組内容、出演者などのテキストデータに含まれる特性をData Enrichment Portalによって補完・拡張することで、消費者の関心や価値観を反映した高精度な視聴率予測の実現を目指す。