ロシアからのインターネット接続は維持されている--ThousandEyes

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2022-03-24 07:30

 ウクライナは、ロシアによる軍事侵攻を受けた後、インターネット資源を管理する複数の公式団体に対して、ロシアをインターネットから切り離すよう要請した。しかし、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)や関連組織は同国の要請を拒否した。その一方、インターネットの主要バックボーンプロバイダーのうちの2社、すなわちLumen TechnologiesCogent Communicationsロシアとのインターネット接続を遮断する発表した。これら企業の行動は言葉よりも雄弁だ。とは言うものの、インターネットの分析を手がけるThousandEyesによると、ロシアにおけるバックボーンインターネットの接続状況はこれまでとほとんど変わっていないという。

 つまり、ロシアはインターネットから切り離されているわけではない。

 皮肉なことに、ロシア国民がインターネットを介して外の世界とつながろうとする上での最大の障害は、ロシア国外にあるのではなく、ロシア国内にある。ロシア政府は既に「Facebook」や「Twitter」「Instagram」をブロックしている。

 またロシア政府は、インターネットのドメイン名からIPアドレスへの変換を行うDNSサービスを、ロシア独自のものに変更しようとしていると報じられた。さらに、TLS証明書を発行する独自の認証局(CA)を立ち上げようとしているとの報道もあった。これら証明書は、ウェブブラウザーとウェブサイトの間でのセキュアな接続を保証するために不可欠だが、ロシアの企業や政府機関は現在、西側諸国からのCA更新を受けることができない。問題となるのは、CAが発行する証明書は上流からの信頼がなければ機能しないという点だ。そして、ロシアの新たなCAが発行する証明書を信頼に足るものとして扱えるウェブブラウザーは、ロシアに拠点を置くYandexのブラウザーとAtomの製品のみだ。これらの証明書が「Google Chrome」や「Firefox」「Microsoft Edge」で信頼に足るものとして扱われる望みはないだろう。

 とは言うものの、ロシアの主要インターネット接続の現状について述べると、依然として機能している。ThousandEyesによると、「ロシアは現在でも、こうした重要なネットワーク経由で他国との接続を維持しており、Rostelecomといったロシアの大手ISPはロシア国外のグローバルなトランジット(中継)プロバイダーとの接続を維持している。こうした状況は、最近の出来事が起こるずっと前と同じだ。その結果、ロシア国民は少なくともインフラレベルでは、グローバルなインターネットへのアクセスを維持している」という。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    ランサムウェア攻撃に狙われる医療機関、今すぐ実践すべきセキュリティ対策とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]