「Core Python」(CPython)を管理するPython Software Foundation(PSF)は米国時間3月22日、Facebookを運営するMetaが同団体に30万ドル(約3600万円)を寄付したと発表した。CPythonは、多くの機械学習(ML)アプリや人工知能(AI)アプリを支えるオープンソースのプログラミング言語だ。
PSFは「PythonはMetaにとってとても重要だ」と述べた上で、「PyTorch」はPython向けに構築されており、MetaやオープンソースのMLエコシステムにおける、ML関連のリサーチやプロトタイピングから本番環境に至るまでの流れを加速していると指摘した。また、「Cinder」はMetaによるパフォーマンス指向版のPythonであり、世界規模での「Instagram」の運用を可能にしているとした。さらに「Pyre」について、Metaの数千人に上るPython開発者によって使われている高性能な型チェックツールだと述べた。
PSFは発表の中で、Metaからの寄付によって「PSFへの重要なサポートが提供され、『Developer-in-Residence』プログラムが2年目も維持される」と記している。
PSFが2021年に立ち上げた「Developer-in-Residence」プログラムは、CPython開発者をフルタイムで確保できるようにするものだ。このイニシアチブによってLukasz Langa氏の起用が可能になった。PSFによると同氏は、「処理が滞っているプルリクエストの解消作業や、bugs.python.orgのGitHub Issuesへの移行作業の完遂とともに、新たなコア開発者への助言を担ってきている」という。
発表によると、Langa氏は「Pythonにフルタイムで取り組めることは、私にとって夢の実現とも言うべきものだ。私はこの機会を頂いたこと、そしてPSFとMetaから継続的な信頼を得たことに恐縮するとともに感謝している。もう1年この仕事を続けられるのはとてもうれしい。コードレビューをフルタイムで実施する人がいれば、チームのメンバーは自らが最も得意とする物事に注力できるようになる。この役割が2023年まで延長されることで、私はより長期的な貢献についての計画に取り組めるようになる」と述べているという。
Meta(時価総額は5800億ドル、約70兆円)は、CinderからPythonに向けたアップストリームの改善も実施し、Cinderを普及させていく計画だ。
CPythonは「Anaconda」や、(Instagram上での写真共有パフォーマンスを強化する目的でFacebookによって実装された)Cinderといった、他の言語実装の基礎となっている。
Guido van Rossum氏
提供:Python creator Guido van Rossum
CPythonのコア開発者であるDino Viehland氏は、「CinderはMetaによる、CPython 3.8のパフォーマンス指向版だ。これは何年も前からInstagramサーバーを支える本番用Pythonとして用いられてきているとともに、Meta社内を通じたさまざまなPythonアプリケーションで活用されてきている」と説明している。
Pythonの生みの親であり、現在Microsoftに勤務するGuido van Rossum氏は、Pythonの実行速度を2倍にし、ハードウェアとの結合度が高いCベースの言語と同じ土俵で戦えるようにしたいと考えている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。