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従業員が「キャリアを選び取る」働き方へ--シスメックスが挑むジョブ型人事

大場みのり (編集部)

2022-04-07 07:00

 神戸市に拠点を置き、臨床検査機器などを展開するシスメックスは2020年4月からジョブ型人事制度を実施し、システム基盤としてタレントマネジメントシステム「SAP SuccessFactors」と従業員エクスペリエンス管理ツール「Qualtrics EmployeeXM」を導入した。同社は世界190以上の国で事業を展開し、従業員数は9500人以上に上る。

 同社のジョブ型人事制度や両ツールの活用方法について、DX戦略推進本部 デジタル企画部の門田裕樹氏と人事本部 グローバル人事企画部 部長の田島功規氏に話を聞いた。

DX戦略推進本部 デジタル企画部の門田裕樹氏(左)、人事本部 グローバル人事企画部 部長の田島功規氏(右)
DX戦略推進本部 デジタル企画部の門田裕樹氏(左)、人事本部 グローバル人事企画部 部長の田島功規氏(右)

 人材を経営資源の一つと捉えているシスメックスは、自社や従業員の持続的な成長に向けて、ジョブ型人事制度を導入した。2020年4月の開始時は管理専門職を対象とし、2021年10月からは一般従業員にも適用している。同社は新等級として、Global Grade(GG)とLocal Grade(LG)を用意。一般従業員のLGは1から4まであり、リーダーポジションのLG4は管理専門職のLG5と同様にジョブディスクリプション(職務記述書)、LG3以下はチームごとにミッションディスクリプション(業務内容や必要なスキルをまとめたもの)を作成する。

 シスメックスのジョブ型人事制度では、職務の明確化や役割に応じた報酬に加え、柔軟性も持ち合わせているのが特徴だ。例えば、長期的な人材育成に向けて、適性がなかったら別のポジションへ異動したり、パフォーマンスを十分に発揮できなかったら役割を限定して再挑戦したりできる制度や風土を整えている。

 「当社は、研究開発から製造、販売、サービス/サポートまで一貫して行っており、関係会社も複数展開している。そのため、『社内転職』のような形で自分の特性やライフステージに合わせてポジションを選ぶことができる」と田島氏は説明する。

 システムの導入により同社は、情報を集約して経営や人事に関する意思決定や施策の効果測定を行うとともに、人事情報を一元管理・可視化してグループ人材を最大限活用することを目指している。同社はもともと人事システムを機能ごとに保有していたが自動連携できておらず、紙保管のデータもあり情報が散在していた。その結果、人事データを十分に活用できていなかったという。

 SAP SuccessFactorsについて門田氏は「人事だけでなく経営を支える基幹システムとして採用した」と述べる。幅広い機能が搭載されていることや、ヘルスケア/ライフサイエンス業界での実績があることが決め手になったそうだ。同社は、コア人事、給与計算、タレントマネジメントの機能を利用しており、グループ全体における同システムの導入状況は現時点で7割程度だという。

 SuccessFactorsを活用したタレントマネジメントは、人事評価、後継者管理、育成管理という流れで行われる(図1)。人事評価ではパフォーマンス管理(PM)/目標管理(GM)モジュールを活用し、各従業員が通年目標を設定して年度末に上司が評価する。

図1 図1
※クリックすると拡大画像が見られます

 後継者管理ではまずPMモジュールを用いて、従業員の現在のポジションに求められるスキルやコンピテンシー(優秀な人材に共通する行動特性)と本人の能力の隔たりを把握。次に、上司との1on1ミーティングや関連する部門の管理専門職層を交えたディスカッションを行い、現ポジションおける従業員の育成状況を確認する。そして後継者計画(SP)モジュールにより、各ポジションの後継者候補を設定する。「これまでは、部長の後継者に現課長を据えたら今度は課長の後継者に悩む、といったことがあった。後継者の全体像が見えるようになったのは大きい」と田島氏は効果を振り返る。

 育成管理ではキャリア開発計画(CDP)モジュールを使って、現在と登用先それぞれに必要なスキルやコンピテンシーに基づき、育成計画を練る。後継者候補には、ハードルの高い業務の割り当てやPMモジュールを活用した360度評価も行う。門田氏は「従業員のデータを一元管理することで、評価者の中にある暗黙知を形式知に変えられる」と実感している。

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