シスコ、Wi-Fi 6E対応APなどハイブリッドワーク時代を支えるネットワーク製品群

渡邉利和

2022-04-01 11:00

 シスコシステムズは3月29日、Wi-Fi 6E対応アクセスポイント(AP)や「Cisco Catalyst 9000Xスイッチ」の新モデル、エンタープライズ向けの「Cisco Private 5G」など、ハイブリッドワークを支援する新たな製品群を発表した。

 同社 代表執行役員社長の中川いち朗氏は会見で、同社のパーパス(存在意義)を「全ての人にインクルーシブな未来を実現する(To power an inclusive future for all)」と紹介。「誰もが分け隔てなく受け入れられて認められていると実感できる社会」を“インクルーシブ”という言葉で表現し、「こういった社会をデジタルで実践することこそシスコの使命だ」と語った。

 また、コロナ禍によってデジタルシフトが日本でも急加速した現状を踏まえ、中川氏は「今こそシスコのパーパスを実現する時。すなわち、デジタル化の恩恵を受けられる人と受けられない人との格差を解消し、誰もが取り残されない社会を作るための大きなチャンスだ」とした。

 ハイブリッドワークは同社の注力分野の一つであり、ユーザー企業の課題意識がとても高いという。それを受け、シスコでは4月から大々的なキャンペーンを展開すると明かした。ハイブリッドワークの時代には、働く場所や勤務体系に関係なく、従業員が生産性を落とさず最高のパフォーマンスを発揮できる環境を実現しなくてはならないという。

 また、安全かつ快適で働きやすいハイブリッドワーク環境を提供するためは、「安心安全なアクセス」「柔軟なコラボレーション」「全てを可視化」の3点が重要だとし、これらを実現するのが同社の「変化に即応できる統合プラットフォーム」であると強調した。

ハイブリッドワークに求められる要件と、それを支えるシスコの統合プラットフォーム
ハイブリッドワークに求められる要件と、それを支えるシスコの統合プラットフォーム

 続いて、同社 執行役員 エンタープライズネットワーキング事業担当の眞崎浩一氏が今回発表の新製品について説明した。まず、ハイブリッドワーク時代のオフィスネットワークに起きている異変として、「オフィスに出社する人数がコロナ禍以前の3割から5割程度に減っているにもかかわらず、オフィスのネットワークトラフィックは逆に増加している」ことを指摘。その理由として利用が急拡大したビデオ会議システムの特性を挙げた。

ハイブリッドワーク時代のオフィスネットワークに起きている異変
ハイブリッドワーク時代のオフィスネットワークに起きている異変

 コロナ禍以前のオフィスのトラフィックは、ウェブやメールが中心で情報量が少なかったが、コロナ禍以降はオフィスに出勤した人も在宅勤務者や社外関係者と頻繁にビデオ会議をするようになっていることから、そうしたトラフィックが増加した。ビデオ会議システムは双方向通信であり、終了・切断するまでセッションを維持するため、ネットワークに与える負荷が極めて高いという。

 こうした環境変化に対応し、急増したビデオ会議を快適に利用するための新製品として発表されたのが、Wi-Fi 6E対応のアクセスポイント製品「Cisco Catalyst 9136」「Cisco Meraki MR57」や、アクセスポイントを接続/集約化するスイッチ「Cisco Catalyst 9000X」になる。また眞崎氏は、さまざまなアクセスネットワークを単一の認証システムで一元的に管理可能とする「Cisco Identity Services Engine(ISE)」や無線ネットワークの利用状況を3Dマップ上で可視化できる「Cisco DNA Spaces」なども紹介した。

今回発表の新製品一覧
今回発表の新製品一覧

 Cisco Private 5Gについては、同社 執行役員 サービスプロバイダー アーキテクチャ事業担当の高橋敦氏が説明。これは、ローカル5G(特定エリアで使用する第5世代移動体通信システム)のマネージドサービスで、現在は限られたユーザー企業を対象に提供が開始されている段階という。今夏ごろの一般提供を予定している。

 いわゆるローカル5Gのソリューションだが、同社が得意とするエンタープライズネットワークと密接に統合されている。Cisco ISEによる認証のほか、運用管理や可視化のソリューションもそろうことから、冒頭で中川氏が挙げたハイブリッドワーク環境に求められる要件が一通り整備された形だ。

Cisco Private 5Gの構成要素
Cisco Private 5Gの構成要素

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  3. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    急増する工場システムへのサイバー攻撃、現場の課題を解消し実効性あるOTセキュリティを実現するには

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]