メルカリは、基幹系システムを含むあらゆる業務システムを統合するためServiceNowの「App Engine」を全体最適化のプラットフォームとして採用した。また、「IT Service Management」も採用し、順次社内ITに関わる資産管理や問い合わせ対応などに活用していく。ServiceNow Japanが発表した。
メルカリは、これまで社内におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みとして、各部門がそれぞれの業務効率の向上のために部分最適化したシステム導入を行っていた。これにより部門内の業務が改善されたものの、従業員の仕事のしやすさの点で見ると、部門を横断する申請や問い合わせをする際に、プロセスに沿ってそれぞれの部門にそれぞれのフォーマットで申請を行う必要があるなど作業が煩雑だった。そこで全社を通じて効果的なワークフローを自動化する仕組みの導入を実現する方法を模索していたという。
以前からクラウドサービスをプラットフォームとして活用していたが、部門で簡単にシステム開発・運用できるものではあったものの、社内で利用しているコミュニケーションツールなどのさまざまなクラウドサービスと連携が難しかった。
ServiceNow導入後は社内で必要なベンダー登録、IT資産の購入、社内メーリングリスト作成、登記簿コピーの発行といった利用頻度の高いあらゆる問い合わせや承認申請について部門横断型のデジタルワークフローを実現するアプリケーションを開発、従業員向けの申請・問い合わせサイトで一括して提供できるようになった。
また導入以前は、取引先登録申請時に、取引先との契約書を作成した後、それを法務がレビューし、その承認後に稟議申請、決裁者への申請、承認された後に購買へ発注申請を行うというプロセスに対して、各承認者や部門への個別申請を提出すること、また申請に必要な手順を従業員が把握しておく必要があった。
しかし導入後は、これらのプロセスを従業員が把握していなくても、従業員からの承認申請を起点に、必要なレビューや承認が部門を横断するデジタルワークフローを用途別で開発でき、必要なプロセスが自動化された。
さらに、申請書を入力する際に、繰り返し入力するような基本情報はそれぞれの業務システムなどから最新データが自動入力されることで、従業員は煩雑な作業から解放され、本来注力すべき業務に専念できる時間を少しでも多く得られるようになったという。
従業員が社内の各種手続きに関する手順や規約を閲覧するためのポータルサイト「merportal(メルポータル)」にも同様にApp Engineでユーザーの使い勝手を考慮したデザインに刷新した。これによりポータル内でよく検索されるワードや、それぞれのページがどれぐらい閲覧されているかなどの分析ができるため、その結果に応じて今後継続的にユーザーの利便性向上を図ることも可能となった。
今後メルカリは、申請・問い合わせサイトとmerportalを統合することで、より一層の従業員体験の向上を図っていくことを検討している。