日本マイクロソフトは4月19日、スタートアップ企業への支援に関する説明会を開催した。米国時間3月8日にスタートアップ企業の支援施策「Microsoft for Startups Founders Hub」の強化を発表しており、コーポレートソリューション統括本部 クラウド事業開発本部長の原浩二氏は、「スタートアップ企業は顧客であると同時に次世代を担うパートナーと捉えている。各国で生まれたユニークなサービスのグローバル展開を支援したい」と意気込みを語った。
日本マイクロソフト コーポレートソリューション統括本部 クラウド事業開発本部長の原浩二氏
日本マイクロソフトは、スタートアップ企業を技術やサービス、顧客開拓まで伴走型でサポートする「Microsoft for startups」を2016年に立ち上げ、現在まで600を超える国内スタートアップ企業を支援してきた。同社は展望として、1つ目に「スタートアップ企業の戦略的なテクノロジーパートナーになること」を掲げ、「『Microsoft Azure』や『Microsoft 365』に限らず、MicrosoftグループのGitHubやLinkedinなど多様なテクノロジー基盤を活用していただきたい」(原氏)という。
2つ目には、「全てのスタートアップ企業をあらゆるフェーズで成功に導くこと」を掲げ、スタートアップ企業の成長段階に応じて支援していくとする。3つ目は「スタートアップ企業の成長をグローバルへ後押しすること」。Microsoftのグローバルネットワークを用いて、「各国で生まれたユニークなサービスのグローバル展開を支援する」と原氏は述べる。その具体的な取り組みが、Microsoft for Startups Founders Hubになる。
Microsoft for Startups Founders Hubの支援内容
Microsoft for Startups Founders Hubは、既存のスタートアップ企業支援プログラムに、「市場の変化やフィードバックを踏まえたリニューアルと強化」(原氏)を図った。スタートアップ企業の成長段階に応じて、Microsoft Azureの利用料が最大4年間で15万ドル(約1700万円)まで免除され、Microsoftによるメンタリングも用意する。「世界中のMicrosoftの従業員がメンタリングネットワークに参加しており、(Microsoft for Startups Founders Hub)を通じたつながりを持てる。例えば、特定業界に強いメンバーや起業経験を持つメンバー、当然技術に明るいメンバーも参加している」(原氏)
この他にも月額100ドル(約1万3000円)相当の「Azure Standardプラン」や、選任エンジニアが対応する「Azure Technical Advisor」、Microsoft技術者の招待制ハンズオンイベント「Open Hack」といった技術支援を用意する。さらに、「われわれが持つ国内大企業とのネットワークを生かして、(スタートアップ企業と)エンゲージさせていただくほか、共同プロモーション展開など技術面のみならず事業支援を通じてスタートアップ企業を支援する」と原氏は述べた。
Microsoftは、2019年7月にOpenAIと協業を発表し、GPT-3言語モデルの独占ライセンスを取得している。Microsoft for Startups Founders Hubに加入したスタートアップ企業に対して1000ドル(約13万円)分のクレジットと3カ月間分の「OpenAI API Innovation License」、OpenAI技術者による無償コンサルティングを米国で提供するが、原氏によれば今後日本でも展開する予定だという。
スタートアップ企業の成長段階に応じて支援を受けられる
日本マイクロソフト コーポレートソリューション統括本部 クラウド事業開発本部 ビジネス デベロップメント マネージャーの戸谷仁美氏は、スタートアップ企業を取り巻く状況として、「ここ2年ほど、国内大企業から新規事業開発や既存事業刷新を目的に、スタートアップ企業を探しているケースが増えたと感じる」と話す。
日本マイクロソフト コーポレートソリューション統括本部 クラウド事業開発本部 ビジネス デベロップメント マネージャーの戸谷仁美氏
スタートアップ企業支援の具体例としては、センシンロボティクスとコミュニティオの事例を紹介した。前者は産業用ドローンで企業や自治体の支援を目指し、後者はコミュニケーションと仕事の発展を目指したソリューションを手掛けるスタートアップ企業だ。日本マイクロソフトは、センシンロボティクスに対して「Azureエンジニアを交えた技術的支援や(ドローンと)相性が良さそうな企業を紹介」(戸谷氏)。コミュニティオに対しては「Microsoft Teamsを採用する大企業に対してサービスを提案した」(同)とのこと。コミュニティオのソリューション「TeamSuite」は、「Microsoft Teams導入済み大企業への導入障壁が低く、2022年4月時点でNECグループ、東急建設、長谷川コーポレーションなどで利用されている」(同)という。
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