デジタルワークフローソリューションを提供するServiceNowの日本支社ServiceNow Japanは4月20日、製造業界向けソリューションについて記者説明会を開催した。
企業では現在、デジタル化が進められているが、製造業では、本社拠点のみならず、工場、倉庫、サプライヤー、販売店、顧客といったさまざまなステークホルダーをつなぐサプライチェーンを取り巻く固有の状況を考える必要があると営業事業統括 製造営業統括本部長 松本大輔氏は述べる。そのような状況として、「ものづくりのグローバル化」「消費行動の多様化」「新たな社会的価値・テクノロジーの進化」「感染症の拡大によるサプライチェーンへの影響」があるという。
また、製造業ではデジタルの活用が進んでおらず、製造業のCxOからは「データ自体はあるが、次に何をすべきかの判断ができない」「コスト削減のために時代遅れのプロセスを改善するか、自動化する必要があるが、どうしてよいか分からない」「サプライチェーン全体で何が起こっているのかをより明確に把握したい」といった声が上がっている。
製造業の経営陣がデジタル化をためらうのは、デジタル化の投資をリスクと考えているためと松本氏。その背景としては、つながらないレガシーシステム、ユーザーエクスペリエンスの低下、アジャイルツールの欠如、マニュアルでサイロなプロセスなどがあるという。これに対し、ステークホルダー全体にまたがって、有機的な協業を支援するデジタルの仕組みがあれば製造業のデジタル変革(DX)が進むのではと松本氏は述べ、同社では、このような仕組みをサプライチェーンエンゲージメントと定義していると続けた。
ServiceNowが目指すサプライチェーンエンゲージメントは、ステークホルダー全体での利用が可能になっている単一プラットフォーム上のデジタルワークフロー。これにより、ステークホルダーで構成されるサプライチェーンは強化され、さまざまな効果や生産性の向上が期待できるようになるという。
ServiceNowは、DXにおいてSystem of Engagement(SoE)の概念が重要と考えているという。「従来の統合基幹業務システム(ERP)では、System of Record(SoR)の領域が効率化されてきた。しかし、本当に大事なのはSoEで、各部署間といった横の連携は人と人とのプロセスなので、自動化や効率化がこれから必要」(松本氏)。製造業では、購買、生産、物流といった非常に多くの部門が関連していることから、この領域を効率化することでより大きな効果が生み出されるという。同社では、この領域を「Single Systems of Action」と呼び、サプライチェーンの司令塔の役割を担うものと考えている。
ServiceNowの「Now Platform」は、エンドツーエンドのデジタルワークフローを実現するSingle Systems of Actionとして、さまざまな部門で使われているさまざまなシステムを横串で通し、社内外の関係者が依頼・確認・処理といった業務アクションを実行する共通システム基盤だとソリューションコンサルティング事業統括 製造SC統括本部 統括本部長の津留崎厚徳氏は述べる。
ServiceNowは、製造業向けに具体的な適用業務(ユースケース)を整備してきており、「Customer Workflows」「Factory Workflows」「Supplier Workflows」「Workforce Workflows」「IT & Shared Services Workflows」という5本の柱で成り立っている。加えて、サステナビリティー/ESGの取り組みを支援する製品なども提供している。