マイクロソフト、Linuxに特権昇格の脆弱性新たに発見

Liam Tung (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2022-04-28 14:37

 Microsoftは、Linuxデスクトップで一般的に使用されているシステムコンポーネントに、root権限への昇格、マルウェアのインストールを可能にする複数の脆弱性があることが分かったとしている。

 標的となったLinuxデスクトップで攻撃者がroot権限を取得した場合、root権限で動作するバックドアなどのペイロードをインストールしたり、root権限で動作する任意のコードを実行し、悪質なアクションを実行できるようになる恐れがあるという。Microsoftは、Linuxデスクトップで攻撃者が特権昇格に利用できるこの複数の脆弱性を「Nimbuspwn」と呼んでいる。

 Microsoftはブログで、「さらにNimbuspwnは、マルウェアやランサムウェアといったより洗練された攻撃を通じてルート権限を得るためのベクターとして悪用され、脆弱性を抱えた機器に対してより大きな影響を与える可能性もある」と説明している。

 Microsoftが発見した2つの脆弱性はnetworkd-dispatcher内に潜んでいた。「CVE-2022-29799」「CVE-2022-29800」とされており、networkd-dispatcherのメンテナーによってフィックスが導入されている。Microsoftは、root権限で動作するサービスのコードレビューと動的解析を実施するために、System Bus上のメッセージをリッスンしていたところ、networkd-dispatcher内に奇妙なパターンが存在していたことが分かり、脆弱性を発見したとしている。

 Desktop Bus(D-Bus)を開発しているのはfreedesktop.orgプロジェクトだ。networkd-dispatcherはClayton Craft氏によってメンテナンスされている。Craft氏は、Microsoftが発見した脆弱性に対処するためにコンポーネントをアップデート済みだ。

 D-Busのコンポーネントは攻撃者にとって格好の標的といえる。「Linux Mint」といった一般的なデスクトップLinuxディストリビューションに多くのD-Busコンポーネントがデフォルトで搭載されている。このコンポーネントは異なった権限で実行され、メッセージに応答する。例えば、ビデオ会議アプリは通話の開始を示すD-Busシグナルを送信すれば、リッスンしているすべてのアプリが、例えば音声をミュートにするなど、適切に対応できる。

 D-Busは、攻撃者にとってさらに望ましい標的へと誘導する恐れもある。それはSystem Busだ。Microsoft 365 Defender Research TeamのJonathan Bar Or氏は、System Bus上のメッセージをリッスンする過程で、networkd-dispatcher内に存在する脆弱性を発見した。

 Or氏はブログで、「D-BusにはグローバルなSystem Busとセッション単位のSession Busがある。System Busは一般的に、root権限で動作しているサービスがリッスンしているため、攻撃者の観点で見た場合、より魅力的な標的といえる」と説明している。

 networkd-dispatcherで発見された問題には、ディレクトリートラバーサル、シンボリックリンクの競合、time-of-check-time-of-use(TOCTOU)競合条件といったセキュリティの問題があった。攻撃者はこれらの問題を組み合わせてroot権限への昇格を実行し、マルウェアをインストールできるようになる恐れがある。

 Microsoftは、「われわれは、Clayton(Craft氏)のプロ意識とこれらの問題の解決に協力してくれたことを感謝したい。networkd-dispatcherのユーザーはこれらのインスタンスをアップデートするよう推奨される」としている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]