IDC Japanは5月9日、国内企業900社を対象に実施した「2022年 企業ネットワークサービス利用動向調査」におけるWAN(Wide Area Network)に関する調査結果を発表した。同調査では、企業におけるWANサービス、インターネット、SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)、外部データセンター/クラウドの利用実態などについて記している。
これによると、コロナ禍でWAN帯域の拡大/増加を実施・検討している企業の割合が、縮小/削減する企業の割合より高かったという。既に拡大/増加済み、または拡大/増加の予定がある企業の割合は合計で45.4%で、縮小/削減済み、または縮小/削減予定の企業を上回っている(図1)。
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WANサービスの利用では、拠点数が多く通信品質を重視する大企業は閉域ギャランティー型(帯域確保型)好む傾向にあると分かった。閉域ギャランティー型のレイヤー2やレイヤー3(多拠点間の網型接続)のサービスは大企業ほど利用が多く、従業員数1000人以上の企業では最も使われているという。
多くの企業でインターネットトラフィックが増加傾向にあることも分かった。インターネットトラフィックが増加した企業は76.3%で、2020年7月調査から23.7ポイントも増加している。
コミュニケーションズ リサーチマネージャーの山下頼行氏は「企業のWAN帯域に対するコロナ禍の影響は、出社率の低下に伴う拠点のトラフィック減少よりも、ウェブ会議などによるインターネットトラフィック増加の影響が強く出ている。通信事業者は、増大するトラフィックに対してコストを抑えながら対処できる策を準備すべきである。閉域ギャランティー型WANを好む傾向がある大企業に対しても、ベストエフォート型WANの積極的な活用や、ローカルブレイクアウトによるインターネットトラフィックのオフロードを提案することも一つの方策だ」と述べる。