SUBARUは、車両設計シミュレーション向け衝突解析・流体解析と3D可視化用高性能コンピューティング(High Performance Computing : HPC)ワークロードの実行環境に「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)を導入した。日本オラクルが発表した。
OCIへの移行により、SUBARUは場所や電力などの物理環境要件や保守費などのIT管理運用コストなどオンプレミス環境でのシステム拡張での課題を解消できる。さらに同社は、計算数値流体力学(Computational Fluid Dynamics : CFD)シミュレーションと3D可視化のワークロードもOCIで実行することで、計算時間を約20パーセント短縮可能だという。
同社は2021年12月にOCIを採用し、アルゴグラフィクスの支援のもとOCI上での環境構築とHPC環境の移行を行い、2022年5月に稼動を開始した。検討当初は「Oracle Cloud Lift Services」の概念実証(PoC)支援により、クラウド移行の課題や懸念事項を実機環境において確認・解消し、OCIに関するスキルも習得している。
OCIは、ローカルのコンピュータのメモリーから、異なるリモートのコンピュータのメモリーへデータの転送を行うプロトコルRDMA(Remote Direct Memory Access)クラスターネットワークを備えたベアメタルHPCコンピューティングをパブリッククラウドで初めて提供している。これにより、2マイクロ秒未満のレイテンシと100Gbpsの帯域幅が可能となった。
またOCIは、AltairなどのさまざまなHPCのISVアプリケーションとフレームワークをサポートしている。SURABUでは、OCIにAltair PBS Professionalのクラウドバースティング機能を組み合わせて活用し、計算時に必要なノードを起動し、計算が終了したらノードを削除することで、リソースの柔軟な運用やコストの最適化を図っている。