欧州で5月に「KubeCon+CloudNativeCon」が開催され、このイベントで1つのことが明らかになった。クラウドによるチャンスの広がりは、その潜在的な利点を活用する企業の能力が充実するよりも速く進んでいるということだ。カンファレンスに参加したKeith Twonsend氏は、「人材と教育が第一の課題だ。私は今のところ、大量のリソースなしに何千ものアプリケーションを移行する現実的な方法を思い付かない。人材や資金よりも仕事の方が多い」とツイートしている。
確かにITは日々複雑になっており、システムを構築・管理するための監視機能や自動化に対する需要は止まるところを知らない。クラウドネイティブプラットフォームは、メンテナンス性や監視機能を強化し、自動化を容易にするだけでなく、インフラのモダナイゼーションや、製品を市場に投入するまでの期間を短縮するためにも役立つと考えられている。同時に、クラウドネイティブシステムのスキルやセキュリティは、現在も大きな懸念事項のままだ。
これらのことは、Ubuntuを開発しているCanonicalが世界の1300人以上の回答者を対象に行った調査でも裏付けられた。この調査では、回答者の83%がハイブリッドクラウドかマルチクラウドを利用していたが、50%近くは、社内のスキル不足や人材不足がKubernetesやコンテナへの移行や利用の妨げになっていると述べている。
クラウドネイティブな技術を採用する利点について尋ねる質問では、弾力性とアジリティ、リソースの最適化、サービスコストの削減などが回答に挙がった。
どの目標が自身とチームにとって重要か(2つ選択)
- メンテナンス性、監視機能、自動化の改善(64%)
- インフラのモダナイゼーション(44%)
- 製品の市場投入にかかる期間の短縮(26%)
- インフラ総所有コストの削減(18%)
クラウドネイティブ技術が企業にもたらす主なメリット(2つ選択)
- 弾力性・アジリティ(50%)
- リソースの最適化(27%)
- サービスコストの削減(21%)
- 製品の市場投入にかかる期間の短縮(21%)
- クラウドポータビリティ(19%)
- 開発者の生産性向上(19%)
調査では、アプリケーションを実行している環境についても尋ねている。14%の回答者があらゆるアプリケーションをKubernetes上で実行していると述べており、20%以上がベアメタルと仮想マシンでの組み合わせで、29%以上がベアメタル、仮想マシン、Kubernetesの組み合わせで実行していると回答していた。調査レポートでは、「このばらつきは、Kubernetesの柔軟性によって、企業が同じ種類のワークロードをどんな環境でも実行できることを示している」と述べている。