UiPathは5月24日、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)ソフトの最新版「UiPath 2022.4」の提供を開始したと発表した。macOSでのロボット実行やRPAテスト用データの自動生成、SaaS型のロボット提供など、エンタープライズ環境全体にわたって、より深いレベルの自動化を実行可能にするとしている。
代表取締役CEOの長谷川康一氏は記者会見で、「UiPathはRPAからエンドツーエンドの自動化企業になることを目指している」といい、世界200カ国以上でユーザー200万人・1万社を超える企業や組織が同社製品を利用していると述べた。
UiPath 2022.4では、100種類以上の機能向上が図られているという。会見では、その中から「Macユーザー・RPAテスターへの新機能」「『UiPath Automation Cloud Robots』の提供開始」「『Document Understanding』の日本展開」「セキュリティ/コンプライアンス対応の強化」の4点が紹介された。
最新リリースでは、API、ブラウザー、システムの自動化をmacOSのデスクトップ上で実行可能になった。UiPath Studioで開発したワークフローをmacOS、Linux、Windows、Automation Cloud Robotsのクロスプラットフォームで利用できるようになる。RPAテスター向けの機能としては、「Automatic RPA Test Creation」が提供される。これは、複雑に分岐する自動化ワークフローのパターンを網羅的にカバーしたテストデータを自動的に生成する機能で、「テストデータ作成の工数を大幅に削減」(長谷川氏)する。ブカレスト大学との共同研究を基に作られたアルゴリズムを利用している。
UiPath Automation Cloud Robotsは、「UiPath Automation Cloud」でホスティングするSaaS型ロボットになる。仮想マシン型の「Cloud Robots - VM」とサーバーレス型の「Cloud Robots - Serverless」が用意される。仮想マシン型は、Windows環境での自動化を実行可能で、実行サーバーやIaaS環境の購入や契約が不要となる。サーバーレス型はAPIとウェブでの自動化を実行可能で、クロスプラットフォーム用に開発したワークフローを検証/利用できる。課金体系は仮想マシン型が月額単位、サーバーレス型が実行時間単位となっている。
Document Understandingの日本展開については、人工知能(AI)が自動で読み取り項目を認識する「Forms AI」が紹介された。従来の手作業による読み取り項目の設定の手間が省けるのに加え、分かりやすいユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス(UI/UX)とAIによって誰でも容易に利用可能という。また、最新リリースでは、同社が提供する日本語対応の光学文字認識(OCR)エンジンがパブリックプレビューでリリースされ、高精度で日本語の文字を認識できるようになった。オンプレミス版の提供も順次開始する予定。
ロボットと連携可能な製品コネクターも強化された。新たに「Slack」「Salesforce Marketing Cloud」「Adobe PDF Services」などのコネクターが加わり、40以上の製品とAPI連携できようになった。これによって、広く使われているアプリケーションが関係するプロセスを自動化できるようになる。
セキュリティとコンプライアンス面では、Automation Cloudの全てのUiPathサービスが、SOC 2(Service Organization Control Type 2)と医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPAA)のセキュリティ認証を取得した。また、ユーザーとデバイスによるアクセスコントロールの強化や顧客データを単一のデータセンターに集約できるデータ管理要件の強化、ロールベースのコントロール拡張なども図られている。