アドビは6月1日、企業の信頼性に関するグローバル調査を発表した。顧客接点の増加に伴い、企業の信頼性が以前よりも重視され、個々の消費者に最良の選択肢を提供するパーソナライゼーションを担わなければならない。調査は世界15カ国を対象にした企業の信頼性を可視化する取り組みだ。
アドビ DXマーケティング&セールスデベロップメント本部 執行役員 本部長 祖谷考克氏
調査結果に対して、同社 DXマーケティング&セールスデベロップメント本部 執行役員 本部長 祖谷考克氏は「結論は三つ。『信頼』は企業の業績に直結することが明らかになった。二つ目はデータの取り扱いについて企業と消費者の間に大きな認識の差が生じている。最後は安全で透明性のあるデータ活用とパーソナライゼーションが重要」と主張した。
「消費者とのエンゲージメント構築」が難しい
1万2000人の消費者、従業員50人以上の企業に勤めるシニアビジネスリーダー2000人を対象に聞き取りで調査した。調査国は日本を含めた世界15カ国(米国、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、スウェーデン、英国、日本、オーストラリア、ニュージーランド、インド、シンガポール、フィリピン、マレーシア、タイ)におよぶ。
調査を実施した理由について祖谷氏は「(コロナ禍の)2年間で環境が大きく変化し、従来の手法では消費者を理解するのが難しい。消費者のエンゲージメント構築が難しいとの声を多数聞いてきた」と説明する。
だが、コロナ禍で消費者との関係の構築や維持が難しいと感じる国内企業は48.5%(有効回答数200)にとどまった。直面した課題としては、顧客にデータ共有を薦めること(34%)、顧客に自社を推薦してもらうこと(33%)、顧客の購買の大半を獲得すること(31%)が上位に並び、「いずれも売り上げに直結する部分が課題になっている」(祖谷氏)
他方でコロナ禍においては顧客接点も課題の一つだった。デジタル体験と対面体験の優先度は世代によって異なり、1945年以前に生まれた「サイレント世代」はデジタル体験が8%、対面体験が16%。1946~1964年に生まれた「団塊の世代」は21%(デジタル体験)、29%(対面体験)と大差ないが、1997年以降に生まれた「Z世代」は32%(デジタル体験)、38%(対面体験)と両者の顧客体験を重視する傾向が確認できた。
あくまでも個人的な推測だと前置きしながら、祖谷氏は「新型コロナウイルスの大流行で人と会えなくなったことに大きなインパクトを受けたと思う」と語った。
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66%の消費者は企業が不満や要望に共感することを重視し、71%の消費者はクリエイティブコンテンツが企業の信頼度に影響をおよぼすと回答。さらに44%の消費者は一度信頼を失うと、二度と利用しないと回答している。