オンラインとオフラインのコミュニケーションをよりシームレスに--oViceのジョンCEO

藤本和彦 (編集部)

2022-06-10 07:00

 近年、働き方改革の一環としてテレワークやリモートワークを導入した企業が増えてきている。政府が新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、テレワークなどによる「出勤者数の7割削減」を呼びかけてきたのも記憶に新しいだろう。

 リモートワークは業務効率化や生産性向上といった効果が期待されるものの、孤独感や孤立感などコミュニケーションの難しさに課題を感じることも多い。しかし、ワークスタイル変革が叫ばれる昨今、ニューノーマル時代に求められる柔軟な勤務体系は、企業の成長や人材の確保などの観点からも、より一層重要となってきている。

oViceの代表取締役で最高経営責任者(CEO)のジョン・セーヒョン氏
oViceの代表取締役で最高経営責任者(CEO)のジョン・セーヒョン氏

 新型コロナの感染状況が落ち着きを見せる中、徐々にオフィス勤務に回帰しようとする動きも見られるようになった。ただ、コロナ前の日常を取り戻そうと、オフィス回帰を無理に推し進めれば、従業員の離職増加につながるリスクもある。逆に、柔軟な勤務を認めることで、企業は採用を有利に進められるかもしれない。

 コロナ後のオフィス環境について、oViceの代表取締役で最高経営責任者(CEO)のジョン・セーヒョン氏は「オフラインだけになることでも、オンラインだけになることでもない。両方のバランスをとって、共存する形になると考えている」と語る。

 同社は、バーチャルオフィスやオンラインイベントで使える仮想空間を開発・提供するベンチャー企業。「『場所』『人』『機会』に出会いづらくなってしまった世の中で、『空間』と『距離』という概念をオンライン上で実装・提供することによって、物理的な制約から開放する」ことをミッションに掲げている。

 oViceのバーチャルオフィスは、基本的にオープンな空間が特徴だ。自分の分身となるアバターを操り、話したい相手のアバターに近づくだけで会話を始められる。アバター同士の距離や向いている方向によって音量が大きくなったり、小さくなったりするようにできている。それにより、「現実のオフィスと同様の臨場感のある空間」(ジョン氏)を作り出している。

 チャットや音声通話、ビデオ通話、画面共有など、リモートワークに必要な機能は一通りそろっている。oVice内には会議室の設置も可能。会議室内の会話は外部に聞こえないようになっているため、オープンな場ではできないクローズドな会話に利用できる。

oViceのバーチャルオフィス
oViceのバーチャルオフィス

 oViceの1日当たりの利用者数は6万人超、利用企業数は2000社超、サービス継続率は98%となっている。リコーや中外製薬、キオクシア、エン・ジャパンなどの企業がサービスを導入している。

 オフラインとオンラインの違いについて、ジョン氏は「オフラインのメリットは、五感を使った密度の濃いコミュニケーションが展開できることにある。一方、オンラインのメリットは、移動などの物理的な制約がないことだ。非常に効率性が高く、物理的に集まらなくても容易に意思疎通を図ることができる」と話す。

 今後、出社勤務と在宅勤務の混在したハイブリッドワークが主流になるにつれて、オフラインとオンラインでコミュニケーションのギャップや分断が発生する可能性もある。そうした課題を見据え、oViceでは現在、「オンラインとオフラインのコミュニケーションをよりシームレスにするための機能拡充を進めている」とジョン氏は話す。

 また、出社と在宅の割合は、社内でも部署によってカルチャーが違うため、全社一律で決めるのではなく、部署やチームでそれぞれ最適な割合を決めて運用するのが、本来のあるべき姿だと語った。

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