西日本旅客鉄道(JR西日本)は、大阪ガスと共同開発した「強風予測システム」を湖西線沿線に試験導入する。6月15日、試験導入を行うための契約を両社が締結した。
強風予測システムは、大阪ガスの人工知能(AI)を活用した高精度な気象予測データを基に、JR西日本が開発した「局所風況予測AI」で24時間先までの具体的な風速や風向きを予測する。その予測結果から当面の運行計画の判断を行うという。今回の試験導入では、湖西線の大津駅から近江塩津駅周辺を予測エリアとしている。
湖西線沿線では、「比良おろし」という独特の風が吹きやすく、防風柵を設置するなどの対策を実施しているが、年間で約50日、運転規制を実施しているという。運行計画は気象予報に基づいて判断しているが、強風の予報がないにも関わらず、強風が発生し列車を停止させるなど、突発的なダイヤの乱れが生じるケースもあった。
より安定した運行の実現を図るため、2019年より強風予測に関する共同研究を開始。今回、開発が実現した強風予測システムを導入することで、強風の見込みに対して実際は強風が吹かなかった場合の迂回運転や計画的な運休が減少することを想定しているという。
また、予測精度を高めることで、強風予測がないにも関わらず、実際は強風が吹いた、といったケースを減少させ、あらかじめ運行計画を変更できるのではないかとの期待を寄せている。
本年度下期より強風予測システムの試験導入を開始し、予測精度や運行オペレーションへの影響の検証を行う予定だ。2023年度中には本導入を目指し、鉄道の安全性と利便性の向上につなげていく。また、同システムは他の路線や鉄道会社をはじめ、建設業、道路関係事業など、強風による影響が想定される事業にも活用できるのではないかとしている。
強風予測システム構成イメージ