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三井不動産の移動商業店舗事業「MIKKE!」--場所、車両、顧客情報の共有で新たな購買体験

藤本和彦 (編集部)

2022-06-23 07:00

 三井不動産と、同社の新規事業開発を担うグループ会社ShareTomorrowは、シェアリング型の移動商業基盤「MIKKE!」を本格始動している。商業施設や電子商取引(EC)とは異なる、“第3の購買の場”として新たな買い物体験を創出する狙いだ。

 ShareTomorrow ミッケ事業本部 営業部長で事業発案者の後藤遼一氏は、サービス名について「新たな商品やお店、サービスを“見つけた”ときに発する言葉“みっけ!”に由来している」と話す。「“新しい発見のある第3の買い物体験”が、あなたの街へやってくる」をコンセプトに、2021年9月にサービスを開始。湾岸地区のマンション、商業施設、オフィスビル、公園、駐車場など16物件において、食物販・物販・サービス・PR目的のメーカーなど多種多様な店舗が移動販売車両で巡回営業している。早期に60区画、60店舗以上の稼働を予定しており、都内を中心に順次拡大する計画。

MIKKE!のサービスロゴと移動販売車両
MIKKE!のサービスロゴと移動販売車両

 「出店者は初期投資を抑えながら、移動型ビジネスを始められる。タワーマンションや大型オフィスビル、駐車場・公園などを“渡り鳥”のように移動して、質が高い、多種多様な消費者にリーチできる。移動販売でファンになった顧客を実店舗やECサイトに誘導することも可能だ。移動店舗の出店価値を最大化できるような仕組みになっている」(後藤氏)

 MIKKE!のサービス基盤としての特徴は大きく3つある。一つは「場所」のシェアリングで、三井不動産グループが管理する物件を中心に、他社の住宅やオフィスビル、商業施設などでも出店を可能にする。次に「車両」のシェアリング。投資負担が大きくなりがちな車両を出店者に貸与することで、会社の規模に関わらず、大きな投資を伴わずに移動型ビジネスに参入できる。

 最後に「顧客情報」のシェアリング。売上実績と連携した顧客データを蓄積するとともに、オンラインとオフラインを通じた顧客とのコミュニケーションの仕組みを構築していく。多様な不動産の開発・運営を通じて得た知見を活用し、場所や曜日・時間帯に応じて最適な提案が可能である。出店者は売り上げやマーケティング効果が高く期待できるエリアへ機動的に移動でき、第3の販路を持つことで、これまで以上に深くユーザーの嗜好性や購買行動を知り、関係性を深めることが可能となるという。

 後藤氏によると、物件数によるが出店者は2週間くらいかけて移動販売をしていくと出店効果を最大化しやすいという。三井不動産が有するデータや本事業で得られた知見に基づき、出店者と場所の特性をとらえてキャラバンの巡回コースを設定することで、多種多様な「顧客接点の獲得」と「新規売上」を最大化する。

MIKKE!の特徴(左)とキャラバンスケジュール
MIKKE!の特徴(左)とキャラバンスケジュール

 MIKKE!では、2018年のプロジェクトの構想段階から三井不動産のDX本部(旧:ITイノベーション部)と連携して進めてきた。「事業を一緒に考えるメンバーとして入ってもらった。初期段階から関与してもらうことで、事業の実態と齟齬が生まれることなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)の観点を取り入れながら事業を具体化していくことができた」(後藤氏)

 三井不動産 DX本部DX二部DXグループの山本宗氏はこう話す。「DX本部では新規事業案件の立ち上げから参画することが多いが、案件によっては必ずしもデジタル活用が必要なわけではない。事業の立ち上げ段階から入ることで、デジタル活用が必要な部分を見定めたり、バリューチェーンが最大化するようにデータ活用案の設計をしたり、事業部と一体になって事業発案者の想いに伴走しながら、試行錯誤できているのが良いところだ」

 MIKKE!については、「新たなサービス基盤を検討する上で、先行事例がなく、既存サービスをそのまま転用するのが難しい領域だった。特に場所、車両、時間帯などの多種多様な制約条件を基に出店者が移動販売を行う経路を決めるキャラバンシステムは事業として差別化要素であり中核技術だったので、パートナーの選出に慎重を期した。また、過去の実証時の検証データしか存在しなかったため、少ないデータでいかに最適な解を導くかという試行錯誤もあった」(山本氏)

 「サービスを開始してまだ数カ月だが、もっとこうしたらいいんじゃないかというアイデアがたくさん出てきている。その点においても、DX本部がアクセルとブレーキをコントロールしながら、アジャイル的に改善を繰り返している」と後藤氏は話す。MIKKE!の今後については、「それぞれの小商圏を線や面でつなぐ仕組みや、顧客ニーズの集約、分析データの共有によって、新たなバリューチェーンを構築していきたい」と語った。

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