AVEVAとNECは6月21日、プロセス産業の工場のデジタル変革(DX)推進に向けた協業を開始したと発表。高品質・高効率なものづくりを持続的に行う「データドリブン型ものづくり」の実現を目指す。両社が共同で、システムの導入・構築、顧客開拓・マーケティング活動を行う体制を確立し、工場DXの領域で2026年度までに40億円規模の事業化を計画する。
データドリブン型ものづくりの概要
具体的には、データドリブン型ものづくりの構想企画からシステム導入まで一気通貫でつなげる推進方法論を共同で強化、開発、提供していく。同時に、NECの統合基幹業務システム(ERP)、サプライチェーン管理(SCM)、製品ライフサイクル管理(PLM)、 マテリアルズインフォマティクス(MI)、ものづくりデータプラットフォームなどと、AVEVAの製造実行システム(MES)、プラント情報管理システム(PIMS)などを組み合わせ、情報技術(IT)と製造技術(OT)の各領域を兼ね備えた統合基盤となるデジタルツインプラットフォームを提供する。
また両社がこれまで数多くのプロセス産業の顧客に対して導入を支援してきた実績を土台として、今後は日本の機能性化学と食品業界に対するテンプレートを開発、提供していく。
両社は今回の協業による提供価値として、生産労働人口や熟練技術者の減少に対するものづくり力の維持、強化や事業のレジリエンス(回復力)向上、社会からの高度な品質要求への対応などを挙げている。
これまで熟練技術者が勘やコツで行っていた製品品質管理のノウハウを形式値化することで、非熟練者であっても高品質なものづくり、高効率な操業を可能にする。また、工場の状況をデータで可視化することで、市場の変化に応じて迅速に増産、減産などの事業判断をできるようにする。
またオペレーションミスの抑止やトレーサビリティー(追跡可能性)を強化するとともに、サプライヤーや顧客をまたがるサプライチェーンのデータを結合、活用することで製品品質の改善や品質保証強化を図り、企業の社会的信頼性の向上に貢献していく。