オンプレミスの基幹システムを自分たちでクラウドへ移行しようと「内製化」に取り組む企業が、その支援をITベンダーに要望するケースが増えてきているという。この場合、果たして内製化という表現は適切なのか。
大手ITベンダーの首脳や幹部が語る「内製化」
まずは、筆者が最近、取材で耳にした内製化に関する大手ITベンダーの首脳や幹部の発言を3つ紹介しよう。
「既存の基幹システムのクラウド化に向けた取り組みを自分たちで進めようという内製化の動きが、多くのお客さまで起こり始めているように感じている。その際、有効なテクノロジーやサービスをもって支援してほしいという要望がここにきて増えてきている。今後、基幹システムのクラウド移行に向けては、こうしたお客さまの内製化の取り組みがさらに増加し、それをどのように支援していくかが注目ポイントになるのではないか」(クラウドサービスベンダーの幹部)
「多くのお客さまが今、取り組もうとされているのは、基幹をはじめとしたオンプレミスの業務システムを、クラウドのメリットを生かした仕組みに移行していくことだ。それをスムーズかつスピーディーに行うために、自らの手でその移行に取り組むお客さまが増えてきている。当社はそうしたニーズに対して有効なサービスを用意しているので、内製化に取り組むお客さまをしっかりとサポートしていきたい」(独立系ITサービスベンダーの首脳)
「オンプレミスの業務システムをクラウドへ移行する作業をお客さまで内製化する動きが出てきているが、内製化と言っても実際に業務アプリケーションの中身についてお客さまが細かく手を施すことを指しているのではない。クラウドを活用してどのようなシステムに作り替えるか、そして開発プロジェクトのリーダーシップを、主体性と責任を負って臨む姿勢が内製化の真意だと捉えている」(メーカー系ITサービスベンダーの首脳)
以上が、内製化に関する3つの発言だが、いずれも基幹をはじめとした業務システムのクラウド移行に向けた取り組みにおいて、内製化を進める企業が増えてきた動きに対し、自社ならではの支援を行っていきたいと述べている。この動きについてはクラウドサービスベンダーの幹部が話すように、内製化がキーワードになるかもしれない。
こうした動きそのものはまさしく現象であり、上記の3氏の発言からすると、今後もっと大きなうねりとなっていくように感じる。ただ、気になるのは内製化という表現だ。