バックオフィス支援サービスを提供するSBIビジネス・ソリューションズは6月27日、経理現場の課題やその対応策に関するメディア限定の勉強会を開催し、対応が遅れている地方企業・中小企業のデジタル変革(DX)を推進したいとの考えを述べた。
代表取締役社長の夏川雅貴氏は、多くの企業が依然として紙を使った請求書関連業務を行っていると指摘する。取引先などから請求書を受け取ると、各部署の担当者は「Excel」などを利用して支払処理申請書を作成・印刷し、請求書と合わせて確認・承認のために社内回覧する。請求書を郵送する場合には印刷・封入・投函が必要となり、送付先の社員は出社して受け取ることになる。
システム導入により請求書発行の部分を電子化しても、それに続く経理業務で紙が使われていることもあるという。経理担当者からは「結局、紙で来る。一部電子化されても紙が残る」との声が挙がっていると夏川氏。紙を中心とした作業に電子的な処理が一部入ってきたため、業務がかえって複雑になるという状況もある。
経理・財務・会計を担当するビジネスパーソン約400人を対象にした調査によると、請求書関連業務(作成、送付、入金確認、督促、仕訳計上)を「1人」で属人的に担当しているという回答がほぼ半数を占め、請求書関連業務で紙を印刷している業務があるかという質問では、8割近くが「ある」と回答している。
請求書関連業務のデジタル化が進まない理由としては導入コストと費用対効果が大きい。請求書発行を電子化するだけという理由では、経営層からは費用支払いへの理解が得られ難く、経理部も「結局効率化されないのであればExcelのままで十分」となると夏川氏は述べる。
とはいえ、2023年10月にはインボイス制度が開始され、同12月末には改正電子帳簿保存法(電帳法)施行から2年間の猶予期間が終了するという、経理業務の「電子化」に関する法改正が迫っている。
だが、調査では、インボイス制度を知っているかという質問に対し、詳細を知っていたのは3割強だったが、全く知らなかったとの回答も3割近くに上っている。対応の進ちょくについては、対応済みが約14%だったの対し、「対応していない」「分からない」は半数以上だった。
改正電帳法について2021年11~12月に実施した調査では、改正の内容を知っている企業はわずか3割で、「改正があることは知っているが、内容は知らない」「改正があることを知らない」がそれぞれ3割近い回答だった。このようなことから、同社では、このままインボイス制度の認知度や電子保存義務化の対応が進まずにいると、改正電帳法施行時の「電子保存義務2年猶予」のような事態がまた起きるのではと懸念する。