「ランサムウェアは世界が直面する最大のサイバー脅威」--英NCSCのトップが警告

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2022-06-29 11:40

 ランサムウェアは、今日の世界が直面する最も大きなサイバーセキュリティの脅威であり、社会や経済全体に深刻な影響を及ぼす可能性がある。そして、ランサムウェア攻撃が収まる兆候はない――。英国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)の最高責任者、Lindy Cameron氏はそのように警告した。

 同氏はテルアビブで開催中の「Cyber Week 2022」で講演し、「ウクライナで戦争が激化している現在でも、私たちが直面する世界的なサイバー脅威の中で最も重大なのは、ランサムウェアだ。この問題の規模はそれほど大きい。ランサムウェア攻撃は、短時間で深刻な損害をもたらす。急速に進化しており、あらゆる場所に浸透している。犯罪集団がランサムウェア攻撃をサービスとして提供することも増えており、サイバー犯罪に手を染めることが以前よりも容易になった」と語った。

 また、「英国への影響が年々大きくなる」何百件もの一般的なサイバーインシデントとともに、「国家的に重要なインシデント」にもNCSCは対処してきたとした。

 Cameron氏は、NCSCが対応したランサムウェアインシデントの具体的な事例について詳細な説明は控えたが、「これらの複雑な攻撃は、私たちの社会や経済に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と警告し、NCSCのインシデントレスポンダー、そして、業界や外国で同様の仕事を担当する人々の働きがなければ、それらの攻撃が実際に深刻な影響を及ぼした可能性もある、と示唆した。

 同氏によると、NCSCは他の法執行機関と協力し、ランサムウェア攻撃を推進する犯罪システム、ランサムウェア犯罪集団の性質、ランサムウェアキャンペーンの実行に使われる手法の進化を理解しようと努めているという。

 同氏は、「ランサムウェア攻撃を仕掛けても採算が取れないようにして、犯罪者が魅力を感じないようにしたい」と述べた。同氏によると、サイバーセキュリティを取り巻く状況がすべて悲惨なわけではなく、NCSCの「Active Cyber Defence」プログラムは、市民を標的としたサイバー攻撃を阻止するのに貢献しているという。

 これには、何百万件もの不正なURLを排除した削除プロジェクトや、疑わしい電子メールの報告を受け付けるサービスが含まれる。このサービスにはこれまで、一般の人々から1050万通以上の疑わしい電子メールの報告が寄せられ、7万6000以上のオンライン詐欺の阻止につながった。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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