ABBYYジャパンは7月21日、機械学習などを活用した光学文字認識(AI OCR)プラットフォーム「ABBYY Vantage(ヴァンテージ)」の国内展開を開始した。同社はABBYY Vantageなどを含む“次世代AI OCR”を「インテリジェント文書処理プラットフォーム(Intelligent Document Processing:IDP)」と定義、ABBYY Vantageは従来のOCR製品を大きく上回ると主張した。
ABBYYジャパン 代表取締役社長 前田まりこ氏
ABBYY Vantageの優位性について、代表取締役社長 前田まりこ氏は「すぐに使える利便性や多くの導入事例、信頼性から選ばれている。さらにAI OCR技術を常に強化し、(プロセスマイニングツール)『ABBYY Timeline』を使った一気通貫の業務内容チェックも利点」だと説明している。
意識は仕分けや読取位置などに移行
近年は深層学習の広まりに伴い、AI OCRのトレンドが変化しているという。ABBYYジャパン シニア・プリセールス・エンジニア 近井英樹氏は「数年前は識字率が話題の中心だったが、最近は仕分けや読取位置、認識文字の学習に移り変わった」と分析しながら、ABBYY Vantageが備える“スキル”(学習済みOCR機能)を解説した。
ABBYYジャパン シニア・プリセールス・エンジニア 近井英樹氏
一般的な帳票は非定型のものが多く複雑なため、読み取り位置の判断が求められるが、ABBYY Vantageはリアルタイムに修正した内容を学習する機能を備えることで、自社利用帳票や顧客別帳票の自動読み取りを行える。
また、企業ロゴなどデータ化に不要な読み取り位置も学習可能。詳しくは後述する各スキルは同社の「ABBYY Marketplace」を通じて、有償・無償で入手できる。認識文字はグローバルのABBYYが保守管理しお、ABBYY Vantageのバージョンアップに伴って学習効果を反映させていく。
前述の通り、ABBYYは長年OCRを手掛けてきた。1989年に創業し、「ABBYY FineReader」を中心に2014年設立の日本法人を含めた世界15カ所でビジネスを展開している。同社のOCRエンジンは「複写機などにも組み込まれ、すでに多くの顧客が利用」(前田氏)してきた。
直近のOCRとしては、オンプレミスやMicrosoft Azureで利用する「ABBYY FlexiCapture」が有名だが、ABBYY Vantageは「複雑なレガシーシステムや属人化、任意のソリューションを用いた自動化など各種課題に直面している企業」(前田氏)を支援するものだと説明する。
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企業向けAI OCRは数多く存在するが、ABBYY Vantageの強みは学習済みOCR機能の“スキル”としている。スキルは業界や業種、利用場面にあわせた学習を終えており、日本語を含めた200言語以上に対応する。