企業が直面する最大のサイバーセキュリティの脅威は何かと尋ねられた場合、皆さんの頭に最初に浮かぶのは、どのような脅威だろうか。
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サイバー犯罪者がネットワークを暗号化し、時には病院に対しても、暗号鍵と引き換えに多額の身代金を要求する、容赦のないランサムウェア攻撃を思い浮かべる人もいるだろう。あるいは、何カ月もの間ネットワーク内に潜伏し、ユーザー名、パスワード、銀行取引情報など、あらゆるデータを盗む、卑劣なマルウェア攻撃を想像する人もいるかもしれない。
確かに、これらも重大なサイバーセキュリティの脅威に含まれる。これらは、被害者に苦痛をもたらす攻撃であり、大きな損害を引き起こす可能性もある。しかし、それよりもはるかに単純なサイバー犯罪の手口がある。そして、詐欺師たちはこの手口によって、あまり注目されることなく、ほかの手法よりもはるかに多くの利益を得ている。
ビジネスメール詐欺(BEC)攻撃の規模の大きさは明白だ。米連邦捜査局(FBI)によると、BEC攻撃による総損失額は433億ドル(約5兆9000億円)に上り、177カ国で攻撃が報告されているという。
詐欺師がBECにこれほど強い魅力を感じているのは、高度なスキルを持つハッカーが必要になることがほとんどないからだ。必要なのは、ノートPCとインターネット接続、少しの忍耐、そして、悪意だけだ。
最も基本的なレベルでは、詐欺師は企業の最高責任者が誰なのかを調べて、なりすましの偽の電子メールアドレスを設定するだけでいい。それが完了したら、従業員に電子メールを送信して、送金を迅速かつ静かに実行するよう指示する。
これは非常に基本的なソーシャルエンジニアリング攻撃だが、成果を上げることが多い。上司の要求に応えようとする従業員は、送金(数万ドル以上に上ることもある)をすぐに承認するかもしれない。重要な取引を遅らせたら罰を受けるかもしれないと従業員が考えた場合は、特にそうだ。
より高度なケースでは、攻撃者は同僚や上司、クライアントの電子メールアカウントに侵入し、実際の電子メールアドレスを使って送金を指示する。
被害者が異変に気づいた時には、攻撃者は既に金を奪って姿を消しているというわけだ。
BEC攻撃への対策として重要なのは、この攻撃がどのようなものなのかを周知させるとともに、送金を防ぐプロセスを設けることだ。
テクノロジーはある程度役に立つが、こうした攻撃は人間の心理につけ込んでくるというのが現実なのだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。