ターミナルプログラムを使用してPico Wに接続し、「MicroPython REPL」を使ってコードを試すこともできるが(懐かしい8ビットコンピューティングを再び体験したいX世代の人もいるだろう)、推奨されている「Thonny」のようなMicroPython対応の開発環境で作業した方がいい。これは、開発エディターとしてだけでなく、PythonコードをPicoにインストールする手段としても使用できる。
Pico Wを開発用PCに接続して、Thonnyを起動する。エディターの下のシェルペインに、PicoのMicroPython REPLが表示され、ここでコードを素早く試すことができる。ただし、ほとんどの作業はメインのエディターで実行することになるはずだ。

Pico WのMicroPythonシェルを使用して、ワイヤレスネットワークをスキャンする。
Screenshot: Simon Bisson
Pico Wで最初にやることは、おそらくワイヤレスネットワークへの接続を試すことだろう。MicroPythonを使用している場合は、新しいネットワークモジュールを使って簡単に試せる。まずwlanオブジェクトを作成してから、アクティブに設定し、そのconnectメソッドを使用してSSIDとパスワードに接続する。しばらく待ってから、接続の設定を取得し、現在のIPアドレス、DNSサーバー、ゲートウェイアドレスを確認する。Raspberry Piのドキュメントには、ローカルWi-Fiネットワークに接続するための基本的なスクリプトが含まれている。自分のデバイスが正常に機能しているか確認する簡単なテストとして、近くのアクセスポイントをスキャンするメソッドもある。
Pico Wをウェブで使用する
Pico Wをネットワークに接続したら、何ができるのだろうか。MicroPythonの便利なモジュールであるsocketとurequestsを使用すれば、HTTP経由で外部サービスとの通信を開始できる。urequestsは外部サービスとの間でJSONペイロードを送受信できるので、非常に便利だと感じるだろう。このアプローチにより、ネットワークに接続したPico Wで多くの選択肢を利用できる。たとえば、アプリケーションからメッセージを受信したり、データを返したりすることができる。JSONを使用できれば、実用性が大幅に向上する。というのも、デバイスが産業オートメーションやホームオートメーションの一部として一般的なウェブフックエンドポイントと連携し、あらゆる種類のワークフローに接続できるようになるからだ。
このようなマイクロコントローラーをネットワークに接続すると、より大規模なコネクテッドエコシステムの一部になるため、多くの制約が解消される。自宅の観葉植物の水やりを自動化することもできるし、庭の果物の収穫時期を判断するためのセンサーを構築してもいいだろう。あるいは、Pico WのPIOステートマシンをGPIOピンと組み合わせて、ユーザー独自の外部回路でアクチュエーターを駆動することもできる。
さらに、MicroPythonでPico W上にシンプルなウェブサーバーを構築し、自分のハードウェアプロジェクトに簡単なダッシュボードを追加することも可能だ。その場合、ソケットモジュールを使用してHTTPリクエストをリッスンし、必要に応じて応答するようにしておく必要がある。このウェブサーバーは外部ハードウェアに接続できるので、少ない消費電力でデバイスをウェブに拡張する手段となる。ソケットを使って、フォームサポート付きのウェブサーバーを構築し、ユーザーが任意のアプリケーションを設定できるようにするのはおそらくやり過ぎだが、HTTPサポートをコードに追加して、ユーザーが設定ファイルをアップロードできるようにすることは非常に理にかなっている。
結論
Raspberry Pi Pico Wには好ましい点が多い。なじみのあるシンプルなデバイスにネットワーク接続機能が追加され、実用性が大幅に高まっている。消費電力を抑えてネットワークに接続できるため、大量の電力供給は必要ない。電池を電源として使用し、Wi-Fi電波を受信できる場所ならどこでも動作するコネクテッドハードウェアを構築することができる。
さらに、デフォルトのファームウェアとMicroPythonによって独自のソフトウェアを簡単に構築できるため、Pico Wは、RP2020とCYW43439を使用する商用製品の最適なプロトタイピングプラットフォームだ。Raspberry Pi Foundationから大量購入して、自分のキャリアボードに搭載することもできる。
ワイヤレス接続機能を備えたPicoは驚くほど強力なツールであり、心からお薦めできる製品だ。わずか数ドルで、想像できるほぼすべてのことを実行可能なコネクテッドデバイスを構築できる。幼稚園児から高校生までの教育と、産業界のギャップを埋めるようなデバイスはめったにないが、Raspberry Pi Pico Wは間違いなくそうしたデバイスの1つだ。さて、Pico Wで何を作ろうか。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。