カルビーは、滋賀県に置く湖南工場に人工知能(AI)を搭載した製造業向けの生産計画自動立案システム「最適ワークス」を導入した。同システムを開発したスカイディスクが8月9日に発表した。
製造業では、多品種少量生産の潮流により製品ごとに異なる製造条件が多く、生産計画が複雑化しているという。最適ワークスでは、「どの製品を・何個・いつまでに」というオーダー情報から設備・人員の最適な割付け計画をAIが立案する。
同システムは、計画担当者が長年蓄積したノウハウが製造現場にある前提で開発されており、改善の過程で言語化されたノウハウを追加設定することで、正確な要件定義に到達する。これにより、素早くPDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルを回し、理想の生産計画の立案にたどり着けるとしている。
カルビー湖南工場においても、多岐にわたるスナック菓子を専用の設備・ラインで製造しており、それぞれに特有の工程や製造条件が存在していた。製品ごとの諸条件を満たす生産計画の立案は複雑化し、計画立案に毎日1時間以上の時間を要していたという。計画遅延や変更があった際は、生産計画を再立案しなければならず、大きな負担になっていた。また、計画立案は特定の担当者が担っており、業務の属人化という点でも課題を抱えていた。
これらの課題を解消するため、1月から最適ワークスを導入。特有の製造条件をデータとして設定することで、担当者に代わって条件を考慮した生産計画をAIが立案する。また、同システムはシンプルな操作性が特徴で、計画修正や再立案の操作が容易だという。
カルビーは、同システムの活用により、複雑化した生産計画の立案や修正業務の負荷を低減しながら生産性の最大化を目指す。また、属人化の解消により、安定的で効率的な生産計画を立案できる体制を構築するという。
同社は生産計画のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むことで、効率的な生産を可能にし、製品の安定供給や在庫の最適化、食品廃棄の削減、余剰人員の抑制など、さまざまな波及効果があるのではないかと期待を寄せている。