主体性が必要--ハイブリッドワーク時代に求められる自律と自己管理の仕事術

阿久津良和

2022-09-02 11:30

 「(緊急事態宣言発令時は)以前からリモートに取り組んでいたため、全部門100%リモートワークへ即座にスイッチできた」――。

 日本マイクロソフトはオンラインイベント「ハイブリッドワーク 2022~リモートワークの先へ! 新しい働き方の多様性」を6月に開催。「マイクロソフトはなぜ“ハイブリッドワーク”に挑むのか?~パンデミック対応で学んだ光と影~」と題されたセッションで日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 ワークスタイル変革推進担当役員 手島主税氏はこのように同社の取り組みを振り返った。

 Microsoftが提唱するハイブリッドワークとは、コロナ禍でのリモートワークと以前のオフィスワークを組み合わせた働き方である。

 リモートワークは通勤など煩雑な要素を排除できたが、人間が本来欲する社会的な関わりが希薄になり、精神的な抑圧を覚える従業員が増えていた。同社が2021年3月に公開した調査結果によれば、従業員の67%は対面業務やコラボレーションを望みながらも、73%はリモートワークの選択肢を欲している(有効回答数3万1092)。

(左から)日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 ワークスタイル変革推進担当役員 手島主税氏、同社クラウド&ソリューション事業戦略統括本部 事業戦略統括本部 マネージャー 兼 ワークスタイル変革推進リード 織田開智氏
(左から)日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 ワークスタイル変革推進担当役員 手島主税氏、同社クラウド&ソリューション事業戦略統括本部 事業戦略統括本部 マネージャー 兼 ワークスタイル変革推進リード 織田開智氏

 日本マイクロソフトは、パンデミック(感染症の世界的流行)以前に入社した従業員と、パンデミック以降の従業員に大きな開きが生じていると主張する。同社が提示したデータによれば、人間関係は33%低下、業務量は34%低下、会議参加頻度は11%低下、上司面談は17%低下した。

 「(コロナ禍では)人間関係の構築も当然難しく、コミュニケーションが必要な業務も遂行しにくい。(個人的には)上司面談が少ないのは非常にショッキングだった」(同社クラウド&ソリューション事業戦略統括本部 事業戦略統括本部 マネージャー 兼 ワークスタイル変革推進リード 織田開智氏)

 さらにウィズコロナ/アフターコロナ環境でパンデミック以前の労働形態に戻りたいか、との問いには、「従来どおり(2%)」「完全リモート(35%)」「ハイブリッドワーク(63%)」との結果に。手島氏は経営層の観点から「朝から晩までリモートワークでは気持ちも疲弊してしまう。部下と(物理的に)つながり、話がしたいんだと。だが、データが示しているように、以前の状態に戻りたい方は少ない」と分析した。

 社会はハイブリッドワークに進みつつあるが、多くの課題を抱えているのも事実だ。勤務形態もオフィスワークなのか、リモートワークなのか。顧客や上司とは対面面談するのか、オンライン会議ツールを使用するのか判断すべき箇所は多い。

 織田氏は「ハイブリッドワーク時代は、すべて自分で決定し、自分で管理しなければならない。つまり主体性がないと取り残される」と警鐘を鳴らす。同社が以前から取り組んできたワークライフバランスへの取り組みは、想像以上の成果に至らなかったと説明しつつ、手島氏は「大事なのはバランスではなく選択。“やる気スイッチ”を入れるための創造性が必要」だと強調した。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]